会社のホームページに「お客様の声」や「事例のページ」を作ったのに、見てもらえるだけで、問い合わせが増えない。そんな経験はありませんか? 実は、事例のページは作り方ひとつで、読む人の反応が大きく変わります。この記事では、マーケティング(商品やサービスを、必要な人に届けて売れる仕組みを作る活動のことです)に詳しくない方にもわかるよう、専門用語が出てくるたびに意味を説明しながら解説していきます。

「事例記事」「BtoB」って、そもそも何のこと?

まず、タイトルにも出てくる「BtoB(ビー・トゥ・ビー)」という言葉から説明します。BtoBとは、会社が会社に対して、ものやサービスを売る仕事のことです。八百屋さんが近所の人に野菜を売るのは、会社が個人に売る仕事なので「BtoC」と呼びます。それに対して、GoalSeekのようにホームページ改善のお手伝いを他の会社にする仕事は、会社同士の取引なので「BtoB」と呼ばれます。

次に「事例記事」です。事例記事とは、「このサービスを使ったお客様(会社)が、どんなふうに良くなったか」を紹介する記事のことです。リフォーム会社を選ぶときに、実際に工事を頼んだ人の体験談を参考にすることがあると思います。事例記事はそれと同じ役割を果たします。

なぜ事例記事は「比較検討している人」に効くのか

マーケティングの世界では、お客様になりそうな人を、興味を持っている度合いによって段階に分けて考えます。まだサービスの存在を知らない人、興味を持ち始めた人、そして、すでにいくつかの会社を比べて「どこにお願いしようか」と選ぼうとしている人、という具合です。

この中で、すでに複数の会社を比べて選ぼうとしている人のことを「顕在層(けんざいそう)」と呼びます。少し難しい言葉に見えますが、意味は「もうすぐ決めようとしている人」というだけです。引っ越し業者を2〜3社に絞り込んで、見積もりを比較している状態の人、とイメージするとわかりやすいでしょう。

事例記事は、まさにこの「顕在層」の人に強く効くコンテンツ(読み物)です。なぜなら、比べている最中の人は、「実際に使った人はどう感じたのか」を一番知りたがっているからです。宣伝文句だけでは、比較している人の心は動きません。

なぜ「読まれるだけ」で終わってしまうのか

ここまでで、事例記事が大事な理由はわかりました。しかし、実際には作っても効果が出ない事例記事がたくさんあります。よくある失敗は、良いことばかりを並べてしまうことです。「導入前に困っていました」「導入したらすごく良くなりました」というだけの、テンプレートのような文章です。

読んでいる人は、こういう文章を見ると「これは宣伝だな」と、すぐに気づきます。そう思われた瞬間に、読むのをやめてしまいます。大事なのは、宣伝っぽく見えないように、リアルな話を書くことです。

読む人の心を動かす、3つのポイント

ここからは、実際に問い合わせにつながる事例記事に共通する、3つのポイントを詳しく説明します。

1. 「自分と似ている」と思ってもらえるか

事例に出てくる会社が、読んでいる人の会社と似ているほど、「自分にも当てはまるかもしれない」と感じてもらえます。「中小企業向け」というあいまいな言葉ではなく、「何をしている会社で、どんなことに困っていたか」を、具体的に書くことが大切です。

たとえば、同じ「中小企業」でも、飲食店と建設会社では悩みがまったく違います。読んでいる人が「これは自分の会社と同じ業種だ」「同じ悩みを抱えていた」と感じられるほど、記事は自分ごととして読まれます。

2. 迷った気持ちを正直に書く

多くの事例記事は、成功した話しか書きません。でも、読んでいる人が本当に知りたいのは、「導入する前は、何を迷っていたのか」という部分です。他にどんな選択肢と比べたのか、どこに不安を感じていたのかを正直に書くことで、記事に信頼感が生まれます。

完璧すぎる話は、かえって「本当だろうか」と疑われてしまいます。少し格好悪い部分、たとえば「最初は半信半疑だった」という本音を残すことが、逆に説得力を強くします。

3. 数字と気持ち、両方を書く

「効果がありました」だけでは、印象に残りません。かといって、数字だけを並べても、実感がなければ心に残りません。「問い合わせが2倍になりました」という数字と、「本当にうれしかったです」という担当者の気持ち、その両方をセットで書くことが大切です。

数字は頭で理解するための材料で、気持ちは心を動かすための材料です。どちらか一方だけでは、読んだ人の記憶に残りにくくなります。

お客様に話を聞くときのコツ

事例ページの良し悪しは、話を聞く(これを「取材」と呼びます)段階でほぼ決まります。以下の4つを守るだけで、事例ページの質はぐっと上がります。

  1. 話を聞く前に、質問をあらかじめ考えておく:「導入前に困っていたこと」「他にどんな会社と比べたか」「決め手になったこと」「導入後にどう変わったか」など、あらかじめ質問リストを用意しておきます。
  2. 数字は、その場で確認する:「あとで確認しよう」と思っていると、担当者の記憶があいまいになったり、社内での確認に時間がかかったりします。話を聞いているその場で、具体的な数字を聞いておきます。
  3. お客様が話した言葉を、そのまま使う:きれいな文章に直しすぎると、その人らしさが消えてしまいます。多少くだけた言い方でも、本人の言葉をそのまま活かした方が、読んだ人に伝わりやすくなります。
  4. 公開する前に、必ずお客様に内容を確認してもらう:数字や会社名の表記に間違いがないか、意図しない書き方になっていないか、公開前に必ずチェックしてもらいます。

事例記事を置く場所も大事:「導線」という考え方

事例記事は、書けば終わりではありません。ここで、もうひとつ専門用語を紹介します。「導線(どうせん)」という言葉です。

導線とは、もともとお店の中で、お客様がどんな順番で歩くかを考える言葉です。スーパーマーケットで、入り口から野菜、肉、そしてレジへと、自然に歩いていく道筋をイメージしてください。ホームページも同じで、訪れた人がどんな順番でページを見て、最後に問い合わせにたどり着くかを「導線」と呼びます。

事例記事は、サービスの紹介ページや料金ページのすぐ近くにリンクを置いて、自然な流れで読んでもらえる導線を作ることが大切です。せっかく良い事例記事を書いても、サイトの奥深くに置いたままでは、誰にも見つけてもらえません。

お客様に協力してもらうには

「事例に協力してくれるお客様がいない」という悩みもよく聞きます。この場合は、日ごろの取引の中で「事例として紹介させてもらえませんか」と、早めにお願いしておくのがおすすめです。

お願いするタイミングは、効果が出た直後が一番です。効果を感じているときの方が、お客様も気持ちよく協力してくれます。逆に、時間が経ってから頼むと、記憶が薄れてしまい、具体的な話を聞き出しにくくなります。

また、お客様の負担を減らす工夫も大事です。話を聞く時間は30分くらいにする、文章はこちらで先にドラフト(下書き)を作って確認だけしてもらう、会社名を出しにくい場合は匿名でも受け付ける、といった選択肢を用意しておくと、協力してもらいやすくなります。

この記事のゴール:「リード獲得」につなげること

最後にもうひとつだけ、専門用語を紹介します。マーケティングの世界では、ホームページを見て「問い合わせしてみようかな」と思ってくれた人のことを「リード」と呼び、そういう人を増やす活動を「リード獲得」と呼びます。

事例記事を作る本当の目的は、記事をたくさんの人に読んでもらうことではありません。事例記事をきっかけに「この会社にお願いしてみよう」と思ってもらい、実際に問い合わせ(リード獲得)につなげることが、本当のゴールです。

よくある失敗

事例記事づくりでよくある失敗の1つが、良い話だけをつなぎ合わせて、美談にしてしまうことです。導入前の迷いや、導入後に苦労した点を削ってしまうと、かえって「本当だろうか」と疑われる記事になります。

もう1つは、事例を作った後、サイトの目立つ場所からリンクしないまま放置してしまうケースです。先ほど説明した「導線」を作らないと、せっかく作っても読者の目に触れません。

3つ目は、1本作って満足してしまうことです。業種や課題が異なる事例が複数あることで、読者は自分の会社に近い事例を選んで読めるようになります。1本だけでは、たまたま自分と状況が違う読者を取りこぼしてしまいます。

まとめ

事例記事は、作ること自体がゴールではありません。読んだ人が「自分と同じ状況だ」と感じて、問い合わせ(リード獲得)に動くことがゴールです。この記事に出てきた用語もあわせて、ポイントを整理します。

チェックすること 確認するポイント
似ている点 業種や悩みが、読む人(顕在層)に近い形で書かれているか
正直さ 迷った気持ちや、比べた話が書かれているか
説得力 数字と気持ち、両方が書かれているか
導線 サービスページや問い合わせページの近くに、リンクがあるか
数の多さ いろいろな業種・悩みの事例が、複数あるか
この記事に出てきた専門用語 かんたんな意味
BtoB 会社が会社にものやサービスを売る仕事のこと
顕在層 すでに複数の会社を比べて、決めようとしている人
導線 ホームページの中で、人が読み進んでいく順番・道筋
リード獲得 「問い合わせしてみよう」と思う人を増やす活動

事例記事は、一度作ったら終わりではありません。少しずつ増やしていくことで、より多くの人に「自分にも当てはまる」と感じてもらえるようになります。作り方に悩んでいる場合は、無料相談でも具体的な進め方を相談できます。