「広告を出しているのに問い合わせが増えない」——地方の中小企業から、こうした相談をよくいただきます。「広告費を減らした途端にアクセスがゼロになった」という声も同じです。原因は、広告とSEOの役割を混同していることです。着手する順番も、多くの場合、逆になっています。
この記事では、何から着手すべきかを整理します。具体的な手順と注意点も、あわせて紹介します。
広告の特性:即効性はあるが「借り物」
Google広告やSNS広告には、即効性があります。出稿すると、すぐに露出が増えます。ただし、その効果には期限があります。予算を投下している間しか、効果は続きません。
広告を止めると、アクセスはゼロに戻ります。問い合わせもゼロに戻ります。いわば、広告は「借り物の集客」です。事業の資産としては、積み上がりません。
SEOの特性:時間はかかるが資産になる
一方、SEO(検索エンジン最適化)には持続性があります。成果が出るまでには、数ヶ月かかることが多いです。しかし、一度上位に表示されれば、効果は続きます。広告費をかけずに、問い合わせを生み続けます。
ある調査では、検索順位とクリック率の関係が報告されています。1位表示のクリック率は約30%、10位表示は約5%程度です。つまり、1位表示は10位表示の6倍近い集客効果が見込めます。多くの人は、検索結果の2ページ目までしか見ないとも言われています。
そのため、3ページ目以降(21位以降)はほとんど見られません。検索エンジンからの集客という観点では、効果がないに等しいとも言えます。
広告とSEOは、補完関係にある
予算が限られている中小企業には、現実的な順番があります。広告で今すぐの反応を取りながら、SEOの土台を育てる順番です。広告だけに依存すると、固定費は下がりません。事業が成長しても、この状態は変わらないままです。
広告とSEOは、競合する手段ではありません。両者は、時間軸の異なる補完関係にあります。
実は、私自身もSEOだけで苦しんだ経験があります
偉そうに書いていますが、私自身も苦労しました。独立後、自分のホームページから売上を作ろうとしました。最初の半年間は、まったく反応がありませんでした。実際に売上が立ったのは、1年ほど経ってからです。
その間、収入はほぼゼロでした。そのため、別の仕事と並行してしのいでいました。
20冊の本と100万円で学んだこと
当時は、SEOの解説書を20冊近く読みました。有料のセミナーや講座にも、合計100万円以上を投じました。サイト構造(サイトマップ)の考え方から、学び直しました。WordPressの使い方も、一から覚えました。
レンタルサーバーには、自分で設置しました。SEOを意識したテーマを選び、ゼロからサイトを立ち上げました。記事のテーマは、専門外の分野でした。そのため、関連書籍を10冊以上買い込みました。
まず、書籍で知識を得ました。そのあと、読み手に伝わる文章に書き起こしました。こうした地道な作業を、繰り返しました。
この経験から言えることがあります。SEOは、やり方を知っていてもすぐには結果が出ません。正しい手順を踏んでも、成果までには時間がかかります。だからこそ、広告と組み合わせる考え方が現実的です。
広告で、当面の収入源を確保します。同時に、SEOの土台を育てていきます。この進め方は、遠回りに見えるかもしれません。しかし、実は最も現実的だと感じています。
軌道に乗った後の、拍子抜けするほどの楽さ
一方、軌道に乗った後の楽さも知っています。以前、ビジネスマッチングサイトを自分で運営していました。このサイトは、検索エンジンで上位表示を維持していました。日々の定型作業も、外注化できていました。
外注先との打ち合わせは、週に一度だけでした。それ以外は、ほとんど何もせずに事業が回っていました。SEOには、軌道に乗るまでの地道な取り組みが必要です。しかし、軌道に乗った後の運用負荷は、非常に軽くなります。
この軽さは、他の集客手法にはない魅力です。私は、そう感じています。
ステップ1:サイト構造を整理する
SEOと聞くと、記事をたくさん書くイメージを持つ方が多いです。しかし、最初にやるべきは土台の整理です。私自身、相談を受けたときも、まずここを確認します。具体的には、次の点を見ます。
- サイト内のページが、検索エンジンにとって迷子にならない構造になっているか(メニュー・パンくずリストの有無)
- 提供しているサービス名が、ページのタイトルタグや見出しに自然な形で含まれているか
- 電話番号・住所・営業時間など、問い合わせに必要な情報がすぐ見つかる位置にあるか
- ページの表示速度が極端に遅くなっていないか(画像サイズの最適化など)
この土台が崩れていると、記事を追加しても効果が積み上がりません。特に、開設から年数が経っているサイトほど、この傾向が強くなります。当時の基準で作られた構造が、そのまま残っていることが多いからです。まずは、現状を棚卸しすることから始める価値があります。
この作業は地味なので、後回しにされがちです。しかし、遠回りに見えて、一番効くのがこの棚卸しだと感じています。
ステップ2:地域名との掛け合わせで戦う(ローカルSEO)
全国区の一般的なキーワード(例:「Web制作」)は、競合が非常に多いです。中小企業が上位表示を狙うのは、簡単ではありません。そこで有効なのが「ローカルSEO」です。サービス名と地域名を掛け合わせる方法です。
「〇〇市+サービス名」のような検索は、競合が少ないです。検索している人も、その地域で今すぐ探している見込み客である可能性が高いです。Googleビジネスプロフィールも、あわせて整備しましょう。営業時間・写真・口コミへの返信などが対象です。
こうすることで、検索結果とGoogleマップの両方から問い合わせを得やすくなります。対応エリアが複数ある場合は、エリアごとにページを分けましょう。それぞれのページに、地域名を明記してください。これも、有効な方法です。
地方は、競合が驚くほど弱いことがある
実際、沖縄をはじめとした地方では、業種によって事情が異なります。競合の多くが、基本的なSEO対策にすら手をつけていないケースも珍しくありません。狙っているキーワードで、検索結果の上位10件を見てみましょう。コンテンツの充実度や、サイトの使いやすさを見比べてみてください。
「これなら対抗できそうだ」と感じる場面は、意外と多いはずです。都市部や全国区のキーワードより、ずっと多くなります。ちなみに、このひと手間だけで、取り組む価値があるかは判断できます。専門知識がなくても、ある程度は判断できます。
まずは、自社の商圏に関連するキーワードで確認してみましょう。上位10件が、どの程度作り込まれているかを見るところから始めます。
ステップ3:検索需要を確認してから記事を書く
サイト構造とローカルSEOの土台ができました。次は、記事コンテンツです。ただし、思いついたテーマから書き始めるのは非効率です。まず、実際に検索されている言葉(検索需要)を確認しましょう。
そして、「読み手が困っていることに答える記事」から着手します。自社の強みを語るだけの記事は、問い合わせにつながりにくいです。お客様の疑問(料金相場、選び方、よくある失敗など)に答える記事の方が効果的です。
1本の記事に、複数のテーマを詰め込みすぎないでください。1つの疑問に、1本の記事で丁寧に答えましょう。この方が、検索エンジンにも読み手にも伝わりやすくなります。
個人的には、記事のテーマを考えるとき、必ず確認する点があります。それは「誰の、どんな疑問に答える記事か」という点です。
よくある失敗:記事数を追ってしまう
SEOに着手した企業には、よくある失敗があります。「とにかく記事を増やせば成果が出る」という思い込みです。サイト構造が整っていない状態で、記事だけを積み上げてはいけません。評価が分散し、狙ったキーワードで上位表示されにくくなります。
また、内部リンクを整理しないまま記事を増やすのも危険です。せっかく書いた記事が、埋もれてしまうことがあります。記事は、土台が整ってから書きましょう。需要のあるテーマを厳選すれば、少ない本数でも成果につながります。
効果測定はどう行うか
SEOは、効果が出るまでに時間がかかります。そのため、定期的に進捗を確認する仕組みが欠かせません。Googleサーチコンソールを使いましょう。どのキーワードで表示され、クリックされているかを無料で確認できます。
順位だけでなく、表示回数とクリック率も見てください。「表示されているのに読まれていない」ページが見つかります。そうしたページは、タイトルや説明文を見直すきっかけになります。私が支援先に必ずお伝えしているのは、確認の習慣です。
月に1回など、頻度を決めて数値を確認しましょう。つまり、感覚ではなく数字で判断できる状態をつくることが大切です。
外部に依頼する場合に確認しておきたいこと
自社での対応が難しい場合は、制作会社やコンサルタントに依頼します。その際は、着手前に具体的な内容を確認しておきましょう。「何を、いつまでに、どのような基準で改善するのか」を聞いてください。「SEO対策をします」という抽象的な提案だけでは不十分です。
サイト構造の診断結果を、示してもらえるか確認しましょう。狙うキーワードの根拠も、示してもらえるかが目安になります。コンサルタントとして依頼を受ける立場から、正直に言います。この根拠を示せない相手には、仕事を任せない方がいいと思います。
成果が出るまでには、時間がかかります。だからこそ、進め方の透明性を最初に確認してください。そうすれば、後々の認識のズレを防げます。
まとめ
| 順番 | やること |
|---|---|
| 1 | サイト構造(メニュー・タイトル・問い合わせ情報・表示速度)を整理する |
| 2 | 地域名とサービス名を掛け合わせたローカルSEOに取り組む |
| 3 | 検索需要を確認してから、答えるべき疑問を記事にする |
広告には即効性があります。SEOには持続性があります。両方の特性を理解したうえで、まずは土台から着手しましょう。遠回りに見えますが、これが一番の近道です。
私自身、この遠回りを実際にやってみました。だからこそ、今はそう言い切れます。自社サイトの現状分析から始めたい方もいるでしょう。そんな方は、無料相談で診断できます。