「業界の比較サイトに掲載してみたけれど、問い合わせがほとんど来なかった」。中小企業の経営者や担当者から、よくいただく相談です。逆に「掲載を検討しているが、本当に効果があるのか判断できない」という声も少なくありません。

私は2011年から2018年まで、店舗の内装業者と発注者をつなぐビジネスマッチングサイト(b-naisou.com)を7年間運営していました。この記事では、掲載する側・される側の両方を見てきた経験から、比較サイトやポータルサイトを成果につなげるための考え方を整理します。

比較サイト・ポータルサイトが増えている背景

リフォーム、内装、士業、税理士、Web制作など、業種を問わず比較サイトやポータルサイトが増えています。背景には、検索エンジンの検索結果が年々複雑になり、一つの会社が単独で上位表示を狙うのが難しくなっていることがあります。比較サイト側は多くの会社の情報を集めることで、単独の会社よりも幅広いキーワードで検索結果に表示されやすくなります。

利用者側にもメリットがあります。引っ越し業者の見積もりを一社ずつ電話で取るのは手間がかかりますが、比較サイトを使えば一度に複数社の情報をまとめて見られます。この「比較の手間を減らす」という価値が、比較サイトが支持される理由です。

掲載する会社にとっても、うまく使えば効率よく見込み客と出会える手段になります。だからこそ、仕組みを理解したうえで付き合うことが重要になります。

なぜ「掲載しただけ」では成果が出ないのか

比較サイトやポータルサイトは、特定の業界やサービスに関心を持つ人を集め、複数の会社を一覧で見せる仕組みのWebサイトです。掲載する会社にとっては、自社でSEO(検索エンジン最適化。検索結果で自社サイトを上位に表示させるための取り組みのことです)の施策を積み重ねなくても、サイトが集めた見込み客(将来お客様になってくれるかもしれない人のことです)の目に触れられる点が魅力です。だからこそ、多くの中小企業が掲載を検討します。

しかし、掲載した会社の多くが「思ったより反応がない」と感じます。理由は単純です。比較サイトのページ上には、たいてい競合他社も並んでいます。掲載しただけでは、その中で選ばれる理由がユーザーに伝わりません。

サイト側が集客してくれるのはあくまで「サイトへの訪問者」までです。そこから「自社が選ばれる」までは、掲載する会社自身の見せ方にかかっています。同じカテゴリーに並ぶ他社と比べて、自社が何を強みにしているのかを言葉にできていないと、せっかくの訪問者を取りこぼしてしまいます。

もう一つの理由は、サイトによって集まる訪問者の質にばらつきがあることです。すでに複数の会社を比べて決めようとしている顕在層(けんざいそう。すでに比較検討を始めていて、購入や契約に近い人のことです)が多いサイトもあれば、なんとなく情報収集をしているだけの層が多いサイトもあります。この違いを確認せずに掲載を決めると、期待した反響は得られません。

掲載前に確認すべき3つのポイント

比較サイトへの掲載を検討する際は、契約の前に次の3点を確認することをおすすめします。

  • 想定ユーザー層の一致:そのサイトに来る人が、自社の想定するお客様と重なっているか
  • 競合の掲載状況:同じカテゴリーにすでに強い競合が何社掲載されているか
  • 流入経路の中身:サイト自体がどうやって訪問者を集めているか(検索経由か、広告経由か、SNS経由か)

このうち、流入経路の中身は特に見落とされがちです。運営会社に問い合わせれば、多くの場合、月間のアクセス数やページビュー数は教えてもらえます。しかし、その数字がどうやって集められているかまでは、こちらから聞かないと出てこないことが多いです。

私自身、b-naisou.comを運営していたときは、無料のSNS投稿や検索経由での自然な流入を中心に集客していました。広告に頼らず仕組みを作ることで、労働時間を週1時間程度まで減らしながら、年間で約4,500万円規模の成約を継続できていました。逆に言えば、広告費に依存してアクセス数だけを増やしているサイトもあります。

その場合、掲載企業が支払う費用の一部は、実質的にサイト運営者の広告費に回っているとも言えます。悪いことではありませんが、仕組みを理解したうえで判断する価値はあります。集客の裏側にあるコストの構造を知っておくと、料金の妥当性も判断しやすくなります。

「無料掲載」「モニター価格」の営業電話への向き合い方

比較サイトやポータルサイトの営業では、「今なら無料で掲載できます」「モニター価格でご案内しています」という電話がよくかかってきます。これ自体は違法でも悪質でもない、一般的な営業手法です。ただし、無料や割引という言葉に気を取られて、サイトの中身を確認しないまま契約してしまうケースが目立ちます。

判断の基準はシンプルです。無料や割引の期間が終わったあと、通常料金を払い続けてでも掲載する価値があるかを、契約前に自分で考えることです。運営会社の担当者に「掲載企業の平均的な問い合わせ件数」を聞いてみるのも一つの方法です。具体的な数字を答えられない、あるいは曖昧にはぐらかされる場合は、慎重になったほうがよいでしょう。

掲載を決めたあとにやるべきこと

掲載を始めてから成果につなげるためには、掲載後の運用も欠かせません。

プロフィール・紹介文の作り込み

多くの比較サイトでは、会社紹介文や写真を自由に登録できます。ここを他社と同じような一般的な説明で済ませてしまうと、並んだときに埋もれてしまいます。自社が対応できる範囲、過去の実績、対応エリアなど、具体的な情報を書き込むことが大切です。

レビュー・評価への対応

レビュー機能があるサイトでは、良い評価も悪い評価も、その後の対応まで見られています。悪い評価に真摯に返信している会社は、かえって信頼を得られることがあります。無視したり、感情的に反論したりするのは避けたほうがよいです。

問い合わせ後の追客(ついきゃく)

比較サイト経由の問い合わせは、複数社に同時に問い合わせているケースが多いです。つまり、返信の早さがそのまま成約率に直結します。私が運営していたb-naisou.comでも、返信が早い加盟店ほど成約につながりやすいという傾向がはっきりありました。問い合わせを受けてから半日以内に一次返信をする、という社内ルールを決めておくだけでも効果が変わります。

複数の比較サイトに掲載する場合の考え方

予算に余裕がある場合、複数のサイトに同時掲載したくなるかもしれません。ただし、最初から手を広げすぎるのはおすすめしません。まずは1〜2サイトに絞り、問い合わせ件数と成約率を数か月分計測することが先です。そのうえで、費用対効果が確認できたサイトへの掲載を継続し、そうでないサイトは解約するという判断を淡々と行うことが、掲載型サイトを味方につけるコツです。

よくある失敗

比較サイト活用でよくある失敗を整理すると、次のようなパターンに集約されます。

よくある失敗 起きること
反響件数だけで判断し、成約率を追わない 問い合わせは来るが、質が低く商談にならない
掲載して終わりで、プロフィールを更新しない 情報が古くなり、他社に埋もれる
返信が遅く、他社に先を越される せっかくの問い合わせが無駄になる
無料期間終了後の料金を確認しないまま契約 想定外の費用負担が発生する

まとめ

比較サイトやポータルサイトは、正しく選び、正しく運用すれば、リード獲得(見込み客からの問い合わせや連絡先を得る活動のことです)の有効な手段になります。一方で、仕組みを理解しないまま掲載するだけでは、期待した成果は出ません。

  • 掲載前に、想定ユーザー層・競合状況・流入経路の中身を確認する
  • 「無料」「モニター価格」の営業には、通常料金になったあとの価値で判断する
  • 掲載後は、プロフィールの作り込み・レビュー対応・早い追客を続ける
  • 複数サイトへの展開は、効果測定をしたあとに広げる

この記事に出てきた専門用語の意味を、以下にまとめます。

専門用語 かんたんな意味
比較サイト・ポータルサイト 特定の業界やサービスに関心を持つ人を集め、複数の会社を一覧で見せる掲載型のWebサイト
SEO 検索エンジン最適化。検索結果で自社サイトを上位に表示させるための取り組み
見込み客 将来お客様になってくれるかもしれない人
顕在層 すでに複数の会社を比較検討していて、購入や契約に近い人
リード獲得 見込み客からの問い合わせや連絡先を得る活動
追客 問い合わせをくれた相手に、その後も連絡を取り続けて契約につなげる営業活動