「LINEで広告を出しているが、特に何もしていない」。そんな会社は少なくないはずです。LINEヤフーが提供してきた「LINE広告」(LINEアプリ内のタイムラインやニュースなどに表示される、企業向けの有料広告サービスです)が、2026年10月26日(月)に配信を停止すると、2026年9月25日に公式に発表されました。背景には、LINEとYahoo!の広告基盤を統合する動きがあります。この記事では、何が起きているのか、中小企業の広告主が今のうちに確認しておきたいことを整理します。

先に結論をお伝えします。LINE広告で配信できるのは、2026年10月26日(月)の停止までです。それまでに「LINEヤフー広告 ディスプレイ広告」への移行を終えておかないと、広告は止まったままになります。

「LINE広告」で何が起きているのか

LINEヤフー(旧ヤフーとLINEが経営統合した会社です)は、2026年4月、従来別々だった「LINE広告」と「Yahoo!広告 ディスプレイ広告」を一つの基盤に統合しました。新しい名称は「LINEヤフー広告 ディスプレイ広告」です。ディスプレイ広告(検索結果ではなく、アプリやサイトの画面の中に、バナーや画像の形で表示される広告のことです)という枠組みの中で、LINEとYahoo! JAPANの両方に配信できる、一つの管理画面にまとめた形です。

統合は段階的に進められています。2026年6月30日以降、従来の「LINE広告」の管理画面では新規にアカウントを作れなくなりました。そして2026年9月25日、LINEヤフーは公式サイトで、既存のLINE広告の配信を2026年10月26日(月)に停止すると発表しました。同じ日に、キャンペーンや広告の新規作成、各種設定の編集、再審査の依頼もできなくなります。停止後、日本向けのすべての広告のステータスは「未配信」に変わります。

配信停止の後も、しばらくの間は管理画面を読み取り専用で使えると案内されています。過去のレポートや明細は、その期間中に確認できます。読み取り専用の期間がいつ終わるかは、後日案内されることになっています。

つまり、今すでにLINE広告で配信している会社も、何もしなければ今月中に広告が止まってしまう可能性があります。しかも、この統合は検索広告(インターネット検索の結果に表示される広告のことです)でも進んでいます。以前の記事でも触れたとおり、LINEヤフー広告の検索広告には「検索クエリーマッチング」という自動拡張機能が加わっており、広告の運用全体がAIによる自動化へ向かっています。

なぜ、わざわざ基盤を一つにまとめるのでしょうか。これまでLINEとYahoo! JAPANは、同じ会社グループでありながら、広告の管理画面やデータが別々に分かれていました。広告主からすると、同じお客様に向けて広告を出すのに、2つの画面を別々に操作する手間がありました。媒体側からしても、データが分かれているままでは、AIによる自動化や精度の高い配信を進めにくいという事情があります。基盤の統合は、広告主の手間を減らすことと、媒体側がAI活用を進めやすくすることの、両方を狙った動きだと考えられます。

中小企業にとって何を意味するのか

LINE広告は、少額の予算からでも始めやすく、地域の生活者に届きやすい広告として、中小企業に広く使われてきました。Google広告より先に、LINE広告から出稿を始めた会社も珍しくありません。だからこそ、今回の配信停止は、規模の大小を問わず影響する話です。

特に気をつけたいのは、「広告運用を代理店や外部の担当者に任せているから大丈夫」という思い込みです。移行作業自体は代理店側が対応してくれることが多いものの、最終的な判断や費用の負担は広告主側に発生します。自社がどちらの基盤で配信しているのか、担当者に確認しておく必要があります。

もし自社で直接管理画面を操作している場合は、ログインして「LINE広告」と表示されているか、「LINEヤフー広告」と表示されているかを確認してください。すでに新しい基盤に切り替わっていれば、今回の配信停止の影響はありません。古い管理画面のままであれば、移行の作業が必要です。

確認を後回しにした場合のリスクも、具体的にイメージしておいたほうがよいでしょう。配信が止まるということは、新規の問い合わせにつながっていた入り口が、ある日突然ふさがることを意味します。広告費自体は発生しなくなりますが、その分の問い合わせ数も同時に失われます。穴が空いたことに気づくのが数週間後になれば、その間の商談の機会も戻ってきません。

移行の方法は大きく2つあります。ひとつは、管理画面上に用意されている移行ツールを使う方法です。もうひとつは、新しい基盤で広告グループやクリエイティブ(広告に使う画像・テキストなど、入稿する素材のことです)を一から作り直す、手動での移行です。どちらを選ぶかは、現在の配信量や、過去の配信データをどこまで引き継ぎたいかによって変わります。

移行で特に注意したい3つのポイント

1. 配信実績とオーディエンスデータの引き継ぎ

LINE広告でこれまで配信してきた実績データや、オーディエンス(過去に自社の広告やサイトに接触した人を集めたグループのことです。再度広告を表示する際の対象になります)の設定は、自動的にすべて引き継がれるとは限りません。特にリターゲティング(一度サイトを訪れた人に、再度広告を表示する手法です。自社サイトに興味を持った人へ絞って配信できるため、少ない予算でも効果を出しやすいという特徴があります)に使っているオーディエンスは、移行後も同じ精度で機能するか、早めに確認したほうがよい項目です。

2. 入札・予算設定のずれ

新しい基盤では、入札(にゅうさつ。広告の表示1回やクリック1回に対して、広告主がいくら払うかを決める仕組みです)の仕組みや、予算の配分方法が従来と変わっている場合があります。移行してすぐの数週間は、想定よりクリック単価が上下することがあります。日々の配信結果を、普段より多めに確認しておくと安心です。

3. クリエイティブの表示形式の違い

LINEとYahoo! JAPANでは、広告が表示される画面の大きさや形式が異なります。片方の媒体向けに作ったクリエイティブが、もう一方では見切れたり、文字が小さすぎたりすることがあります。両方の配信面でプレビューを確認してください。必要であれば、画像サイズを作り直す手間も想定しておくとよいでしょう。

注意点・よくある誤解

ここで整理しておきたいのは、「LINE広告」と「LINE公式アカウント」は別のサービスだという点です。LINE公式アカウント(友だち登録してくれたお客様に、企業が直接メッセージを送れる無料〜有料のサービスです)は、今回の統合の対象ではありません。友だちへのメッセージ配信やLINE公式アカウントの運用は、これまでと変わらず続けられます。混同して不要な作業をしないよう、気をつけてください。

「LINEチラシ」の配信停止を心配する声もあります。9月25日の公式発表はLINE広告についてのもので、本文にLINEチラシについての記載はありません。LINEチラシを使っている場合は、LINEヤフーの公式の案内で個別に確認してください。

もう一つの誤解は、「配信停止までまだ時間があるから後回しでよい」という考え方です。移行作業には、新しい基盤でのアカウント設定、クリエイティブの作り直し、配信結果の確認といった複数の工程があります。配信停止の直前にまとめて対応しようとすると、確認が不十分なまま広告が止まってしまうリスクがあります。

私自身、沖縄ITイノベーション戦略センター在籍時にFacebook・Instagram広告の運用に携わり、従来の3分の1の費用で運用できる体制を作った経験があります。そのときに実感したのは、広告媒体の仕組みが変わるたびに、設定をゼロから見直す地道な作業が欠かせないということでした。自動化や基盤の統合が進むほど、こうした地道な点検の重要性は、むしろ増していると感じます。

まとめ

項目 内容
何が起きたか 「LINE広告」と「Yahoo!広告 ディスプレイ広告」が統合され「LINEヤフー広告 ディスプレイ広告」に
スケジュール 2026年6月30日〜新規アカウント作成終了、2026年10月26日(月)配信停止(新規作成・設定の編集も同日に停止)、その後しばらくは管理画面を読み取り専用で利用可能(終了日は後日案内)
対象 従来の「LINE広告」でディスプレイ広告を配信している広告主
対象外 LINE公式アカウント(友だちへのメッセージ配信)は今回の統合と無関係
今すぐ確認すること 管理画面の表示名、移行の有無、配信実績・オーディエンスデータの引き継ぎ状況
移行後に見ておきたいこと 入札・クリック単価の変化、クリエイティブの表示崩れ
記事内の専門用語 意味
ディスプレイ広告 検索結果ではなく、アプリやサイトの画面内にバナーや画像の形で表示される広告
検索広告 インターネット検索の結果に表示される広告
クリエイティブ 広告に使う画像・テキストなど、入稿する素材
オーディエンス 過去に自社の広告やサイトに接触した人を集めたグループ
リターゲティング 一度サイトを訪れた人に、再度広告を表示する手法
入札 広告の表示やクリックに対して、広告主がいくら払うかを決める仕組み

心当たりのある方は、自社の広告アカウントがどちらの基盤で動いているか、今週中に確認してみてください。広告の設定全体を見直したい場合は、無料相談でもご相談いただけます。