「LPを作り直したのに、問い合わせがまったく増えない」。Webサイトの相談を受けるたびに、この声を聞きます。デザインを一新し、写真も新しくしたのに、数字が動かない。実はこれは珍しいことではありません。この記事では、サービスサイトやLP(ランディングページ。商品・サービスへの申し込みや問い合わせだけを目的にした1枚のページのことです)を改善しても成果が出ない典型的な原因と、見直しの手順を整理します。
「見た目を変える」と「成果が変わる」は別の話
LPの改善というと、多くの会社は「デザインを新しくすること」だと考えがちです。カラーを変え、写真をプロに撮り直してもらい、雰囲気を一新する。それ自体は悪いことではありません。しかし、見た目を変えることと、問い合わせが増えることは、実はイコールではありません。
訪問者が問い合わせに至るまでには、いくつかの段階があります。まずサイトに来てもらう段階、次にページの中身を見てもらう段階、そして行動を起こしてもらう段階、最後にその結果を検証して改善する段階です。デザインが関わるのは、この中のごく一部にすぎません。
私自身、前職の沖縄ITイノベーション戦略センターで、有料会員向けのLPを改善し、成約ペースを2倍にした経験があります。そのときに手を入れたのは、デザインよりも先に、誰に何を伝えるかという部分でした。見た目を整える前に、まず訴求そのものを見直す必要があります。
もう一つ意識したいのが「導線」(導線:訪問者がページの中をどう移動し、最終的にどんな行動にたどり着くかという流れのことです)という考え方です。ページの中身がどれだけ良くても、次に何をすればいいか分かりにくければ、行動には結びつきません。デザインを整える作業は、この導線設計の後に来るべき工程です。
原因1:誰に何を伝えるかがズレている
問い合わせが増えないLPの多くは、ページを見に来ている人と、ページが語りかけている相手がズレています。マーケティング用語でいう「ペルソナ」(ペルソナ:サービスを届けたい相手を、具体的な一人の人物像として描いたもののことです)が、あいまいなまま制作が進んでいるケースが目立ちます。
例えば、保険や携帯電話のプランを比較するときのことを思い出してください。多くの人は、いくつかの会社の資料やサイトを見比べます。そのとき、自分の状況にぴったり合う説明をしている会社があれば、そこに目が留まります。逆に「誰にでも当てはまる一般的な説明」しかないページは、記憶に残りません。
LPも同じです。「中小企業の経営者で、問い合わせが増えずに悩んでいる人」に向けた言葉なのか、「大企業の担当者で、社内稟議を通したい人」に向けた言葉なのか。相手によって、響く言葉はまったく違います。ここがズレていると、どれだけデザインを整えても、読み手の心には届きません。
また、開いた瞬間に目に入る範囲を指す「ファーストビュー」(ファーストビュー:ページを開いたときに、スクロールせずに画面に映る範囲のことです)も重要です。ここで「自分向けのページだ」と思ってもらえなければ、その先を読まずに離脱されてしまいます。
具体的に考えてみます。同じサービスを紹介するページでも、経営者に向けては「投資対効果」や「経営課題の解決」を前面に出す書き方が響きます。一方、現場の担当者に向けては「日々の業務がどう楽になるか」や「導入の手間がどれくらいか」のほうが響きます。読み手が経営者なのか担当者なのかによって、見出しの1行目から言葉を変える必要があります。1つのページですべての相手に同じ強さで訴えようとすると、結局どの相手にも刺さらない文章になりがちです。
原因2:CTA(行動を促す導線)の設計が弱い
2つ目の原因は、CTAの設計です。CTAとは「コール・トゥ・アクション」の略で、訪問者に次の行動を促すボタンや文言のことです。「お問い合わせはこちら」といったボタンが典型例です。
よくある失敗は、CTAがページの一番下にしかないケースです。読み手は途中で興味を失うこともあるため、途中の適切な位置にも行動を促す導線を置く必要があります。長いページであれば、2〜3か所に設置するのが目安です。
もう一つの失敗は、ボタンの文言が抽象的すぎることです。「送信する」だけでは、何が起きるのか伝わりません。「今すぐ無料で相談する」「30秒で送信完了」のように、行動した後に何が得られるかを具体的に書くほうが、クリックへの心理的なハードルが下がります。
さらに、問い合わせという「今すぐ決める」行動だけでなく、資料請求のような「気軽に試せる」行動も用意しておくと、まだ検討段階にある訪問者を逃さずに済みます。検討の温度感が異なる相手に、同じ1つの選択肢しか用意しないのは、機会損失につながります。
引っ越し業者を選ぶ場面を思い浮かべてください。多くの人は、いきなり契約はしません。まず見積もりだけを気軽に依頼し、比較したうえで契約を決めます。もしサイトに「即契約」の申し込みボタンしかなかったら、比較段階の人は離れてしまいます。LPも同様に、いきなりの「問い合わせ」だけでなく、気軽な「資料請求」という一歩手前の選択肢を用意しておくことが、機会損失を防ぎます。
原因3:効果測定と改善のサイクルがない
3つ目の原因は、改善が一度きりで終わっていることです。多くの会社は、LPを作り直した時点で満足してしまい、その後の検証をしません。しかし、公開はゴールではなく、スタートです。
訪問者のうち、実際に問い合わせや資料請求に至った人の割合を「コンバージョン率」(コンバージョン率:サイトを訪れた人のうち、問い合わせや申し込みなど、目的の行動に至った人の割合のことです。CVRと略されることもあります)と呼びます。LP改善の成果は、最終的にこの数字の変化で判断します。感覚や社内の評判だけで「良くなった」と判断してしまうと、実際には成果が出ていないことに気づけません。
ここで役立つ考え方が「PDCA」(PDCA:計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Act)という4つの段階を繰り返しながら、少しずつ精度を上げていく進め方のことです)です。GA4やHubSpotのようなアクセス解析ツールを使えば、どのページでどれくらいの訪問者が離脱しているかを数字で確認できます。
離脱が多い箇所が分かれば、そこを優先的に見直します。見出しの言葉を変える、写真を差し替える、CTAのボタン文言を変えるなど、小さな変更を1つずつ試すのが基本です。この手法は「A/Bテスト」(A/Bテスト:2つの案を用意し、実際の訪問者に振り分けて、どちらの成果が良いかを比較検証する方法のことです)と呼ばれます。
一度に複数の要素を変えてしまうと、何が効いたのか分からなくなります。地道に見えますが、1つずつ検証を積み重ねることが、遠回りに見えて最短の道です。
見直すときによくある失敗
LPやサービスサイトの改善に着手する際、陥りやすい失敗がいくつかあります。ここで整理しておきます。
- 一度に全部を変えてしまう:デザイン・文言・構成をまとめて刷新すると、成果が変わった理由が特定できなくなります
- デザインの見栄えだけで判断する:社内で「かっこいい」と評判が良くても、実際の問い合わせ数が伸びるとは限りません
- 制作をデザイナーだけに任せきりにする:見た目の専門家と、集客・訴求の視点を持つ人の両方が関わることが望ましいです
- 公開後に数字を見ない:改善の効果を検証しないまま、次の施策に移ってしまいます
なお、GoalSeekでは、コーポレートサイトやLP、採用サイトなどを対象に、こうした改善を継続的に伴走する形で支援しています(ECサイトは対象外です)。興味のある方は、無料相談からお気軽にお問い合わせください。
まとめ
LPやサービスサイトの改善は、デザインを新しくするだけでは成果につながりません。誰に何を伝えるか、行動をどう促すか、そして改善をどう継続するか。この3つの視点を押さえることが重要です。
| 見直しポイント | やること |
|---|---|
| 誰に何を伝えるか | ペルソナを具体化し、ファーストビューで「自分向けだ」と伝わる言葉にする |
| 行動を促す導線 | CTAを複数箇所に置き、文言を具体的にし、検討度合いに応じた選択肢を用意する |
| 改善のサイクル | アクセス解析で離脱箇所を把握し、1つずつ変更してA/Bテストで検証する |
最後に、この記事に出てきた専門用語を整理します。
| 用語 | かんたんな意味 |
|---|---|
| LP(ランディングページ) | 商品・サービスへの申し込みや問い合わせを目的にした1枚のページ |
| ペルソナ | サービスを届けたい相手を、具体的な一人の人物像として描いたもの |
| ファーストビュー | ページを開いたときに、スクロールせずに画面に映る範囲 |
| 導線 | 訪問者がページの中をどう移動し、行動にたどり着くかという流れ |
| CTA(コール・トゥ・アクション) | 訪問者に次の行動を促すボタンや文言 |
| コンバージョン率(CVR) | サイトを訪れた人のうち、問い合わせなど目的の行動に至った人の割合 |
| PDCA | 計画・実行・評価・改善という4段階を繰り返す進め方 |
| A/Bテスト | 2つの案を比較し、どちらの成果が良いかを検証する方法 |