「AIを使えば、記事はいくらでも量産できる。数を出したほうが検索に強いはずだ」。こう考えて、AIによる記事の大量生成に走りかけた経営者・担当者もいるかもしれません。しかし、海外のSEO専門家131人を対象にした最新の調査では、これとは違う結果が出ています。この記事では、調査の内容と、中小企業がこれからの情報発信で意識すべき点を整理します。
131人のSEO専門家が答えた、2026年のランキング要因調査
この調査は、海外のSEO専門家として知られるサイラス・シェパード氏が実施したものです。131人のSEO専門家に対して、Googleの検索順位に影響すると考えられる103項目を提示し、それぞれの重要度を7段階で評価してもらう形で行われました。日本国内でも、海外のSEO情報を長年発信している鈴木謙一氏のブログで紹介され、話題になっています。
結果、重要度の上位3つに選ばれたのは「関連性」「被リンク」「コンテンツの質」でした。関連性とは、検索した言葉と、そのページの内容がどれだけ一致しているかということです。コンテンツの質は、情報の正確さや詳しさ、独自性を指します。そして被リンク(ひリンク。他のサイトが、自分のサイトのページに向けて貼ってくれるリンクのことです)は、いわば「他社からの推薦状」のようなものです。
ここで注意しておきたいのは、この調査がGoogleの公式発表ではないという点です。あくまで、日々検索順位の変化を観察している専門家たちの経験に基づく意見を集めたものです。とはいえ、131人という規模の専門家が同じ傾向を示したこと自体に、一定の重みがあります。
「被リンクはもう関係ない」という説は本当だったか
AIによる検索が広がるにつれて、「これからは被リンクよりAIにどう評価されるかが大事」「被リンクはもう時代遅れ」という声を聞くことが増えました。ところが今回の調査では、被リンクは重要度2位という結果でした。AIの時代になっても、他のサイトからの評価という仕組みそのものは、簡単にはなくならなかったということです。
考えてみれば、これは自然なことかもしれません。引っ越し業者を選ぶとき、知人から「あそこは対応が丁寧だった」と勧められた業者があれば、初めて名前を聞く業者より安心して選びやすいはずです。検索エンジンにとっての被リンクも、これに近い役割を果たしています。他のサイトの運営者が「このページは参考になる」と判断して初めてリンクを貼るため、第三者からの評価の証拠として扱われやすいのです。
一方で、この結果は「とにかくリンクの数を増やせばよい」という意味ではありません。お金を払って無関係なサイトからリンクを貼ってもらう、といった不自然な方法は、以前からGoogleのルール違反とされています。今回の調査が示しているのは、自社の情報を紹介したくなる相手先を地道に増やしていく努力が、引き続き意味を持つということです。取引先や業界団体のサイト、地元メディアへの露出など、心当たりのある関係を一つずつ辿ってみる価値はあります。
AIで記事を大量に作る前に知っておきたいリスク
今回の調査でもう一つ目を引いたのが、独自のデータや調査結果、ブランドとしての認知度、そして訪問者が目的を達成できたかどうか(満足度やクリックの傾向)が、以前より重視されているという指摘です。裏を返せば、目新しい情報のない、当たり障りのない内容を大量に並べただけのページは、評価されにくくなっているということです。
Googleは以前から、検索順位を操作する目的だけで低品質なページを大量に作る行為を、スパムポリシー上の問題として扱っています。これは「スケールド・コンテンツ・アビューズ(大量生成コンテンツの不正使用)」と呼ばれるものです。ポイントは、AIを使ったかどうかではありません。読者の役に立つ独自の情報や、書き手としての責任があるかどうかで判断される、という考え方です。AIを使っていても、自社の経験や具体的な事例を反映していれば対象になりにくく、逆にAIを使わず手作業でも、テンプレートに沿って似たようなページを量産していれば対象になり得ます。
中小企業にとってのリスクは、こうしたポリシーを知らないまま「AIで記事数を増やせば集客につながる」と誤解し、似たような内容のページを量産してしまうことです。数を増やす作業自体は簡単なので、つい手を出したくなります。しかし、今回の調査結果とGoogleの方針を合わせて見ると、量を追いかけるより、1本ずつの中身を作り込むほうが、遠回りに見えて近道だと分かります。
中小企業が今日からできること
私自身、沖縄ITイノベーション戦略センター在籍時に、ビジネスマッチングサイト(企業同士の出会いや取引のきっかけをつくるサイトのことです)の改善を担当し、アクセス数を3倍に伸ばした経験があります。そのときの取り組みが、今回の調査結果とも重なるので紹介します。
当時のマッチングサイトは、掲載企業の情報がメインでした。企業情報はサイトに欠かせないものの、それ自体に人を集める力はほとんどありません。会社名を知らない人が、わざわざ企業紹介のページを探しに来ることは少ないからです。そこで、IT関連のビジネスコンテンツを強化することにしました。
具体的には、当時流行っていたFintech(金融とITを組み合わせた新しいサービスのこと)やセキュリティ、AI、DX(デジタル技術を使って仕事のやり方を変えていくこと)といった専門的なテーマについて、入門記事を作りました。インターネット検索をする人は、そのテーマを初めて調べる初心者が多いものです。そうした層に向けて、まず入り口をつくる、という考え方です。各テーマのうち、関心を持たれやすい部分から順に記事を追加していきました。
複合キーワード(「セキュリティ 入門」のように、複数の言葉を組み合わせた検索の言葉)まで、以下の視点で選びました。
- SEOツール(検索でどんな言葉がどれくらい調べられているかを分析するソフトのことです)を使って、どの複合キーワードにアクセスがあるかを調べる
- その中で、競合(同じ言葉で上位を狙う他のサイトのことです)が比較的少ない分野を、重点的に書く
このマッチングサイトは、沖縄県内のIT企業向けのものでした。そのため、ITに関する入門コンテンツで検索から人を呼び込み、そこから企業の個別ページへ進んでもらう導線(サイトを訪れた人を、見てほしいページへ自然に案内する道筋のことです)を用意していました。入門記事は入り口、企業ページは行き先という役割分担です。
この経験から言えるのは、サイトのテーマに合ったページコンテンツが必要だということです。どんなサイトでも、まず「誰に来てほしいのか」を決め、その人が検索しそうな話題について、適切なコンテンツを投入していきます。数を増やすこと自体が目的ではなく、サイトの目的につながる中身を選んで作ることが大切です。そうすることで、SEOがサイト内でうまく機能するようになります。
自社で取り組むときは、次の3点から始めてみてください。
- 自社のサイトに来てほしい人が、検索で最初に調べそうなテーマを書き出す
- そのテーマの入門記事を作り、自社のサービスや事例のページへ案内するリンクを置く
- AIで文章の下書きを作る場合も、最終的には自社の実体験や独自の視点を加えてから公開する
どれも派手な施策ではありません。ただ、サイトの目的に合った内容を地道に積み重ねることが評価される、という調査結果である以上、近道を探すより先に、この3点から着手するほうが結果的に早いはずです。
注意点・よくある誤解
一つ注意したいのは、この調査結果を「これさえやれば順位が上がる公式」のように受け取らないことです。あくまで専門家の経験則を集めたものであり、業種やキーワードによって重要な要因の比率は変わります。また、Google自身がランキング要因の内訳を細かく公表しているわけではないため、断定的に語れる話ではありません。
もう一つの誤解は、「AIで文章を作ること自体がGoogleに嫌われる」という受け止め方です。実際には、AIの利用そのものが問題視されているわけではありません。問題になるのは、読者にとって新しい情報のない、順位操作だけを目的にしたページを大量に作る行為です。AIは、あくまで道具の一つとして考えておくとよいでしょう。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査の内容 | SEO専門家131人が103項目を評価、2026年の重要ランキング要因を集計 |
| 上位3項目 | 関連性・被リンク・コンテンツの質 |
| AI時代の変化 | 独自データ・ブランド認知・訪問者の満足度がより重視される傾向 |
| 中小企業への示唆 | ページ数を増やすより、サイトのテーマに合った中身を選んで作り込む |
| この記事に出てきた専門用語 | かんたんな意味 |
|---|---|
| 関連性 | 検索した言葉と、ページの内容がどれだけ一致しているか |
| 被リンク | 他のサイトから自分のサイトへ貼られるリンク。第三者からの推薦のようなもの |
| 複合キーワード | 「セキュリティ 入門」のように、複数の言葉を組み合わせた検索の言葉 |
| 導線 | サイトを訪れた人を、見てほしいページへ自然に案内する道筋 |
| スケールド・コンテンツ・アビューズ | 検索順位の操作だけを目的に、低品質なページを大量に作る行為(Googleのスパムポリシー上の問題) |
自社のページが「量産型」になっていないか、一度客観的に見てほしいという方は、無料相談でお聞かせください。