「ウェビナーなんて、人がたくさんいる会社がやることでしょう」。そう感じている担当者は少なくありません。実際には、人数が少ない会社ほど、ウェビナーが問い合わせを増やす手段になります。この記事では、企画からフォローまでの進め方を、失敗しやすい箇所とあわせて紹介します。

なぜ中小企業にもウェビナーが向いているのか

展示会に出展するには費用も人手もかかります。しかしウェビナーなら、自分のオフィスからパソコン1台で開催できます。移動時間もかからないため、担当者1人でも企画から運営まで回せます。

私は沖縄で、地域の事業者向けの学びの場づくりに関わってきました。大きな会場を借りたセミナーだけでなく、オンラインでの小規模な勉強会も企画した経験があります。そこで実感したのは、参加者は「売り込まれる場」ではなく「自分の悩みが解決するヒントをもらえる場」を求めているということです。この視点が抜けると、ウェビナーは一方的な会社説明会になってしまいます。

ウェビナーが問い合わせにつながる理由はシンプルです。参加者は、申し込みの時点で名前・会社名・メールアドレスを入力しています。これは、Webサイトを訪れただけの匿名の訪問者とは違います。さらに、40〜60分間話を聞いてくれた相手は、資料を1枚ダウンロードした相手より、会社への理解度が高い状態にあります。

開催までの5つの手順

初めてのウェビナーは、次の5つの手順で準備すると進めやすくなります。順番を飛ばさないことが、途中で止まらないコツです。

配信に使うツールは、最初は難しく考えなくて構いません。ZoomやGoogle Meetなど、普段の商談で使っているビデオ会議ツールで十分に始められます。専用の配信システムは、参加人数が増えてから検討すれば問題ありません。大切なのは、ツールの機能よりも、当日までに1度は社内でリハーサルをしておくことです。

1. テーマと対象を絞る

最初に決めるべきは、テーマよりも「誰に向けて話すか」です。テーマが広すぎると、誰の悩みにも深く刺さらない内容になってしまいます。たとえば「マーケティングの基本」ではなく、「問い合わせが増えないサービスサイトの直し方」のように、対象業種や課題を絞り込みます。

テーマを絞ったら、タイトルにもその課題をそのまま入れます。参加者は「自分向けの話だ」と感じたときだけ申し込みをするためです。

2. 集客は既存リストと広告を併用する

集客は、ゼロから新しい人を探すより、すでに接点のある相手に声をかけるほうが効率的です。メールマガジンの読者リストや、名刺交換した相手への案内メールが基本になります。合わせて、会社のSNSアカウントでの告知も行います。

リストだけでは人数が集まらない場合は、少額の広告も検討します。ただし、広告だけに頼ると、申し込みをしても当日来ない人の割合が増える傾向があります。既存リストからの申し込みのほうが、参加率が高いというのが実務での感覚です。

3. 当日の進行で離脱を防ぐ

ウェビナーは、会場での講演と違い、参加者はいつでも画面を閉じられます。これが、ウェビナーならではの難しさです。開始から数分で退屈だと感じられると、そこで視聴をやめられてしまいます。

離脱を防ぐには、冒頭で「今日話す3つのこと」を先に伝える方法が有効です。参加者は、最後まで聞く価値があるかを早い段階で判断したいからです。また、一方的に話すだけでなく、チャットで質問を受け付ける時間を途中に挟むと、参加者の集中が保たれやすくなります。

画面共有の資料は、文字を詰め込みすぎないことも大切です。音声だけで聞いている参加者もいるため、資料は要点だけを示し、詳しい説明は話し言葉で補うようにします。リハーサルの段階で、実際に画面共有をしながら声を出して通してみると、資料の文字が小さすぎる箇所や、説明が長くなりすぎる箇所に気づけます。

4. 録画を社内の資産にする

ウェビナーは、開催した当日だけのものではありません。録画を残しておけば、都合が合わず参加できなかった人に、後日オンデマンドで視聴してもらえます。これは「見込み客を育てる」ための材料を1本増やすという意味で、ホワイトペーパーと同じ役割を持ちます。

録画を公開するページには、申し込みフォームを設置します。視聴した人の情報が新たに手に入るため、1回の開催が複数回の集客機会に変わります。

5. 参加者を次の行動に誘導するフォロー設計

ウェビナー終了後のフォローを忘れると、せっかく集めた関心が時間とともに薄れてしまいます。終了直後に、お礼メールと資料のダウンロードリンクを送ります。このとき、サンクスページの設計と同じ考え方で、次に取ってほしい行動を1つだけ明確に示します。

参加者を何段階かに分けてフォローする会社では、MA(マーケティングオートメーション。メールの開封や資料のダウンロードといった行動履歴に応じて、送るメールの内容やタイミングを自動で変える仕組みのことです)を使い、関心の高さに応じたメールを自動で送っています。社内のリソースが限られる場合は、まずは手作業で「申し込んだが参加しなかった人」「参加した人」の2グループに分けて、別の文面のメールを送るだけでも効果があります。

よくある失敗と注意点

ウェビナーを始めた会社でよく見られる失敗が、1回開催して終わってしまうことです。1回だけでは、申し込み数も参加率も、何が良くて何が悪かったのか判断する材料が足りません。少なくとも3回は続けて、申し込みページの文言や開催時間帯を少しずつ変えながら、どの組み合わせが参加率を上げるかを確かめます。

もう1つの失敗は、当日の内容を自社サービスの説明だけで終えてしまうことです。参加者が期待しているのは、すぐに使える知識やヒントです。自社の説明は、最後の数分にとどめ、残りの時間は参加者の課題解決に使います。

また、申し込んだのに参加しなかった人を、そのまま放置してしまうのも避けたい点です。こうした人は休眠リードと同じ状態になりやすく、連絡を続けなければ関心はそのまま薄れていきます。録画の案内メールを1本送るだけでも、再び関心を持ってもらえる可能性があります。

まとめ

自社でのウェビナー開催は、展示会のような大きな費用をかけずに、関心の高い見込み客と直接つながれる手段です。最初から完璧な内容を目指すより、小さく始めて何度か繰り返しながら改善していくほうが、結果的に早く成果につながります。

項目 ポイント
企画 テーマより先に「誰に向けて話すか」を決める
集客 既存リストへの案内を基本に、広告は補助として使う
当日 冒頭で内容を提示し、途中で質問の時間を挟む
録画 オンデマンド配信のページにも申し込みフォームを置く
フォロー お礼メールで次の行動を1つだけ示す

半年で問い合わせか売上を2倍にすることを目指す「半年で売上・問い合わせを2倍に 成果報酬プログラム」でも、ウェビナーのような見込み客を育てる仕組みづくりを支援しています。自社でのウェビナー開催に不安がある場合は、無料相談でご相談ください。

記事内の専門用語 意味
ウェビナー インターネット上で配信するセミナーのこと
オンデマンド配信 録画した動画を、見たいときにいつでも視聴できるようにする配信方法
MA(マーケティングオートメーション) 行動履歴に応じて送るメールの内容やタイミングを自動で変える仕組み
休眠リード 一度接点があったものの、その後連絡が途絶えている見込み客