「Googleの代理店ですが、無料で動画を掲載できます」。そんな電話を受けたことはないでしょうか。実はいま、Google自身がビジネスプロフィール(Googleマップや検索結果に店舗情報を表示する無料のページのことです)のオーナー確認を厳格化していると報告されています。なりすまし対策が強化される裏で、それに便乗する怪しい営業電話も増えていると言われています。中小企業が今、押さえておきたい両方の備えを整理します。
何が起きているのか
Googleビジネスプロフィールには、そのお店や会社を実際に運営している人物であることを証明する「オーナー確認」という手続きがあります。以前は電話やハガキでの確認が中心でした。しかし2026年に入り、動画を撮影してアップロードする「動画によるオーナー確認」が中心的な方法になっていると、複数のMEO(地図・地域検索での表示順位を上げる対策のことです)専門会社が報告しています。
あわせて、オーナー権限の運用ルールにも変更が加わったとされています。新しく追加されたオーナーや管理者は、追加されてから7日間、他の管理者を削除するといった重要な操作ができない、という制限です。この7日間という猶予期間は、乗っ取りや不正な権限変更を防ぐための仕組みと考えられます。
これらの厳格化の背景にあるのは、偽の店舗登録やなりすましの増加です。実在しない店舗を勝手に登録したり、他人の店舗になりすまして情報を書き換えたりする不正が後を絶たないと報告されています。Googleビジネスプロフィールは無料で使える強力な集客の入り口ですが、それゆえに悪用の標的にもなりやすいという側面があります。
以前のオーナー確認は、電話やハガキに記載された確認コードを入力する方法が中心でした。この方法は手軽な一方、確認コードだけを不正に入手すれば他人になりすませてしまう弱点があったと考えられます。動画による確認は、実際にその場所に立って撮影する必要があるため、なりすましのハードルを上げる狙いがあると見られます。手間は増えますが、正当なオーナーを守るための変更とも言えます。
動画認証でつまずきやすいポイント
動画による確認では、いくつかの映像を求められます。店舗の看板や外観、店内の様子に加えて、周辺の道路標識や目印になる建物を映し、実際にその住所に存在する店舗だと示す必要があります。
ここでよく起きる審査落ちの原因が、店名の表記の不一致です。登録している店名と、看板やシャッターに実際に書かれている店名が微妙に違うだけで、審査に通らないケースがあると報告されています。略称で登録していた、旧店名のままだった、といった理由で足止めされる事業者は少なくないようです。
一度で審査に通らなくても、多くの場合は再申請が可能です。落ち込む必要はありませんが、事前に「登録情報」と「実際の看板表記」を見比べておくと、余計な時間を使わずに済みます。複数の店舗を展開している場合は、店舗ごとに表記がずれていないか、この機会に確認しておくと安心です。
事前に準備しておきたいもの
いざ動画を撮影する段になって慌てないために、あらかじめ次のものを確認しておくと申請がスムーズになります。
- 登録している正式な店名・住所と、現地の看板・表札の表記が一致しているか
- 建物の入り口や最寄りの目印(交差点の名称、隣接する建物など)を、迷わず撮影できるか
- 店内の様子や、営業していることが分かる備品(レジ、商品棚など)を映せるか
賃貸物件やシェアオフィスに入居している場合、建物の看板には管理会社の名前しか出ていないことがあります。こうしたケースでは審査に時間がかかりやすいため、早めに申請しておくことをおすすめします。
厳格化の裏で増える「Googleを装う」営業電話
私はホームページ制作やローカル検索(MEO)の支援を長く手がけてきた中で、地場の中小企業を狙う怪しい営業電話やポータルサイト商法について、noteでも繰り返し注意を呼びかけてきました。「今だけ無料で動画を掲載します」「プロフィールに問題があるので今すぐ対応が必要です」といった話法で不安を煽り、契約や支払いに誘導する手口です。Googleを名乗ったり、Googleと提携しているかのように装ったりするケースもあります。
こうした電話は、Googleのオーナー確認の話題が広がるタイミングに合わせて増える傾向があると考えられます。「確認が厳しくなった」という不安につけ込みやすいためです。実際、Googleも公式のヘルプページで、不正な電話やテキストメッセージから事業者を守るための注意喚起を行っています。それだけ、この種の問題が実際に起きているということでもあります。
なぜ怪しい業者が、こちらの店舗名や電話番号を知っているのか、不思議に思う方もいるかもしれません。理由は単純です。Googleビジネスプロフィールに登録した店舗名・住所・電話番号は、集客のためにもともと公開されている情報だからです。業者はそこから片っぱしに電話をかけているだけで、あなたの店舗を特別に調べ上げたわけではありません。「なぜうちに」と不安になる必要はなく、公開情報を使った営業手法の一つだと理解しておくと、冷静に対応しやすくなります。
判断の基準はシンプルです。Googleの正規のオーナー確認は、電話口でその場の支払いを求めることはありません。少しでも「今すぐ」「お金を払えば」といった言葉が出てきたら、いったん電話を切り、自社で登録内容を直接確認する。この一手間が、被害を防ぐ一番の近道です。
中小企業が今すぐ備えられること
厳格化とそれに便乗する営業電話、両方への備えとして、次の点を点検しておくと安心です。
- 自社のGoogleビジネスプロフィールに、誰がオーナー・管理者として登録されているかを確認する
- 担当者の異動や退職がある場合、権限変更には7日間の猶予が必要になる点を踏まえて早めに動く
- 店舗の看板・外観と登録情報の店名表記が一致しているか、事前に見比べておく
- 「Googleの代理店」「今だけ無料」を名乗る電話には、その場で契約せず一度電話を切る
- 不審な連絡を受けたら、Google公式のヘルプページや、日頃から相談している専門家に確認する
特に2番目は見落とされがちです。担当者が退職する直前になって権限を移そうとしても、7日間はほかの管理者を外せません。余裕を持ったタイミングで、権限の整理をしておくことをおすすめします。
3番目の看板表記の確認も、後回しにされやすい項目です。開業時からロゴを一部変えた、店名の英語表記とカタカナ表記が登録と現地で違う、といった小さなズレは、日常業務の中では気づきにくいものです。年に一度でも、登録情報と実際の店舗を見比べる機会を作っておくと、いざ確認が必要になったときに慌てずに済みます。
よくある誤解
「動画認証に一度落ちたら、二度と登録できない」と考える事業者もいますが、これは誤解です。多くの場合、不備を直して再申請することができます。焦って知らない業者に代行を頼むより、まず自分たちで登録情報を見直すほうが安全です。
また、「電話をかけてくる相手はすべて詐欺」というわけでもありません。実在する広告代理店やMEO支援会社からの営業も当然あります。見分けるポイントは、会社名や事業を名乗るかどうかより、「その場での即決・即支払いを迫るかどうか」です。少しでも判断に迷ったら、一度持ち帰って確認する姿勢が、結果的に自社を守ります。
まとめ
| 変化・リスク | 今できる対策 |
|---|---|
| 動画によるオーナー確認が中心に | 店名表記を看板と登録情報で一致させておく |
| 新しい管理者は7日間、重要操作ができない | 担当者交代の前に、余裕を持って権限を整理する |
| 厳格化に便乗する営業電話・なりすまし業者 | 即決・即支払いを求める電話は一度切り、公式情報で確認する |
| この記事に出てきた専門用語 | かんたんな意味 |
|---|---|
| Googleビジネスプロフィール | Googleマップや検索結果に表示される、店舗・事業所の無料の情報ページ |
| MEO(ローカルSEO) | Googleマップでの表示順位を上げるための対策 |
| オーナー確認 | そのビジネスを実際に運営している本人であることをGoogleに証明する手続き |
Googleビジネスプロフィールは、地域のお客様に見つけてもらうための大切な入り口です。だからこそ、正規の手続きを正しく踏むことと、便乗する怪しい営業に振り回されないことの両方が欠かせません。自社の登録状況や、届いた連絡の見分け方に不安がある方は、無料相談で確認します。