OpenAIが2026年10月5日、ChatGPTの中に新しい「ビジュアル広告(画像を使った広告)」の形式を導入すると発表したと、海外のテクノロジー系メディアが報じています。これまでChatGPTの広告は、会話の回答の下にカードとして表示される形式でした。今回は、画像を作る機能そのものに広告が組み込まれる点が新しく、中小企業の広告の選択肢にも影響しそうです。この記事では、発表の内容と、確認しておきたい点を整理します。

OpenAIが発表した「ビジュアル広告」とは

ChatGPTの広告は、2026年8月に日本を含む5市場で正式に始まりました。これまでの広告は、ユーザーがAIと交わす会話の内容に応じて、回答のすぐ下に「Sponsored(スポンサー)」のカードが表示される仕組みでした。今回発表されたのは、これとは別の新しい広告の形です。

海外メディアの報道によれば、新しい広告は商品やサービスを「見つけてもらう」ことを目的にした、画像を使う広告形式とされています。初期のテストは、2026年10月後半から米国で、選ばれた一部の広告主を対象に始まる見込みと報じられています。具体的な開始日については記事ごとに表現の差があり、断定はできません。

もう一つの注目点は、ChatGPTの画像生成機能(文章で指示するとAIが画像を作る機能のことです)の中にも、広告が表示されるようになるという点です。米国のユーザーを対象に、同じ時期から試験的に始まるとされています。OpenAIは、生成された画像と広告は見分けられるように表示を分ける方針だと説明しているようです。

OpenAIは、広告がChatGPTの回答の中身そのものには影響しないと強調しています。広告主が、チャットボットの答えを自社に有利な内容に変えたり、優先的に表示させたりすることはできない、という説明です。また、気持ちが落ち込んでいる時の相談など、繊細な内容の会話では広告を表示しない仕組みも組み込まれているとされています。背景として、OpenAIはChatGPTの週間利用者数が12億人に達したと説明しており、広告事業を収益の柱に育てたい狙いがあるとみられます。

「画像を使った広告」は何が違うのか

これまでのChatGPT広告と、今回のビジュアル広告の違いを整理すると、表示される場面と目的が異なります。従来のSponsoredカードは、会話の流れの中で、ユーザーが比較検討していそうな場面に出てきます。一方、今回のビジュアル広告は、商品やサービスを画像で「見つけてもらう」ことに重点を置いているとされています。

たとえば、ユーザーが「リビングに合う照明を教えて」とChatGPTに尋ねた場面を想像してみてください。文章だけの回答よりも、実際の商品の写真や、部屋に置いたイメージ画像のほうが、判断の助けになる場面は多いはずです。ビジュアル広告は、こうした「見て選ぶ」場面を想定した広告だと考えられます。

画像生成機能に広告が組み込まれる点も見過ごせません。ユーザーがChatGPTに「おしゃれなカフェのロゴを作って」のように頼んだとき、生成された画像と並んで、関連する広告が表示される可能性があるということです。Facebook・Instagram広告のように、ユーザーの属性に応じて画像広告を配信する仕組みはすでにありますが、AIが画像を作る過程そのものに広告が入り込むという点は、新しい広告のあり方だと言えます。

ただし、ここで紹介した内容は、OpenAI自身が公表した一次資料ではなく、海外メディアの報道をもとにしたものです。提供地域や開始時期、具体的な表示の仕方は、今後変わる可能性があります。日本での提供時期についても、現時点では明らかになっていません。

どんな業種で影響が大きいか

「見て選ぶ」場面が多い業種ほど、ビジュアル広告の影響を受けやすいと考えられます。たとえば、インテリア・家具、アパレル、飲食店、美容・エステといった業種です。これらは、文章での説明よりも、写真や画像で雰囲気が伝わることが購買の決め手になりやすい分野です。

一方、BtoB(企業対企業の取引のことです)のサービスや、専門性の高い士業・コンサルティングのような業種では、画像だけで判断材料がそろうことは少ないはずです。こうした業種にとっては、ビジュアル広告よりも、会話の文脈に連動する従来のChatGPT広告や、SEOによる情報発信のほうが、当面は優先度の高い対策になると考えられます。自社の商材が「画像で伝わるもの」か「言葉で説明が必要なもの」かを、一度整理しておくとよいでしょう。

中小企業にとって何を意味するのか

中小企業にとっての意味は、2つの角度から考える必要があります。1つ目は、広告を出す側としての新しい選択肢が、またひとつ増えるという点です。これまでの会話連動型の広告に加えて、画像で見せる広告という手段が加わることで、商品の見た目が購買の決め手になる業種にとっては、試してみる価値が出てくるかもしれません。

2つ目は、自社のサイトへの訪問そのものが減っていく可能性への備えです。ユーザーがChatGPTの中で画像を見て、気に入ればその場で詳細を調べたり購入先を探したりする流れが広がれば、これまで検索エンジン経由で自社サイトに来ていた訪問者の一部が、AIの中で行動を終えてしまう場面が増えます。この流れは、AEO(エーイーオー。AIの回答の中で自社の情報が引用されやすくするための対策のことです)の重要性が増す理由のひとつでもあります。

私自身、2004年ごろからPPC広告(検索結果に表示されるクリック課金型の広告のことです)の運用に携わってきました。沖縄ITイノベーション戦略センター在籍時には、Facebook・Instagram広告の運用体制を見直し、従来の3分の1程度の費用で成果を出せる体制を作った経験もあります。その経験から言えるのは、新しい広告の形が登場したとき、真っ先に大きな予算を投じるのは早計だということです。まずは少額で試し、自社の商品やサービスに合うかどうかを見極めてから、予算配分を決める姿勢が欠かせません。

今回のビジュアル広告についても、現時点でできることは限られています。日本での提供が始まった際には、自社の見込み客がどんな場面でChatGPTの画像生成機能を使っていそうかを想像しておくことと、広告の効果を測る仕組み(自社サイトへの流入やお問い合わせとの紐づけ)を事前に整えておくことが、出稿を検討する前の準備になります。

注意点・よくある誤解

今回の発表について、誤解しやすい点を2つ整理します。1つ目は、「もう日本でも使える」という誤解です。報道されているのは米国での試験的な提供であり、日本での開始時期は明らかになっていません。情報が独り歩きし、海外の記事をそのまま日本の状況と思い込んでしまうケースには注意が必要です。

2つ目は、「画像生成に広告が出るなら、ChatGPTの回答自体に広告主の意図が混ざるのでは」という不安です。OpenAIは、広告とAIの回答・生成物は仕組み上分かれていると説明しています。実際にどこまで厳密に運用されるかは、サービスが始まってからの検証を待つ必要がありますが、現時点でOpenAIが示している説明としては、広告枠と生成内容は別物として扱われるとされています。

まとめ

OpenAIが発表した新しい「ビジュアル広告」は、画像で商品やサービスを見つけてもらうことを目的にした広告形式です。米国での試験提供が2026年10月後半から始まる見込みで、日本での提供時期は未定とされています。中小企業としては、今すぐ出稿を検討する段階ではありませんが、AIの中で商品が「見つかる」時代への備えを進めておく価値はあります。

記事内の専門用語 意味
ビジュアル広告 画像を使って商品やサービスを見せる広告の形式
画像生成 文章で指示するとAIが画像を自動で作る機能
Sponsored(スポンサー)カード ChatGPTの回答の下に表示される、広告であることを示すラベル付きの表示枠
PPC広告 検索結果などに表示され、クリックされるたびに費用が発生する広告の総称
AEO AIの回答の中で自社の情報が引用されやすくするための対策