「LINE VOOMって何だっけ」。そう思った方も少なくないはずです。LINEが提供してきた動画・投稿共有機能「LINE VOOM」が、2026年9月30日でサービスを終了します。LINE公式アカウント(会社やお店が運営できる、LINEの法人向けアカウントのことです)の投稿画面に組み込まれていたため、意識せず使っていた事業者も多い機能です。この記事では、何が終わり、何が変わらないのか、中小企業が今週中に確認しておきたい点を整理します。

LINE VOOMとは何だったのか、終了までの経緯

LINE VOOMは、LINEアプリ内で動画や写真つきの投稿を発信し、友だち以外のユーザーにも表示されうる機能でした。LINE公式アカウントの管理画面でメッセージを作成する際、「LINE VOOMにも同時に投稿する」というチェックが標準で用意されており、多くの企業がメッセージ配信のついでに使っていました。友だちにダイレクトで届く「メッセージ配信」とは別に、友だち以外の目にも触れる可能性がある、無料の露出経路だったわけです。

運営元のLINEヤフー社は2026年7月15日、公式に終了を発表しました。理由として「サービス提供体制の見直しおよび体験価値の再編」を挙げています。終了は一度に来るのではなく、段階を踏んで進みました。8月下旬にはメッセージ作成画面から「VOOMへの同時投稿」チェックが消え、9月16日には管理画面の分析タブからVOOM関連のメニューが削除されました。そして9月30日11時ごろ、サービス自体へのアクセスができなくなります。過去の投稿データもバックアップ申請(7月15日〜9月30日受付)をしていない限り、閲覧・復元ができなくなる点は注意が必要です。

代わりにLINEヤフー社は9月上旬、新しい「投稿」機能をリリースしました。ただし、この新機能がLINEのホームタブに表示されるかどうかは保証されていません。VOOMのように、友だち以外の目に触れる露出を必ず得られる仕組みではなくなった、という点が今回の変化の核心です。

そもそもVOOMという名前は、2021年11月に「タイムライン」という機能をリニューアルしてつけられたものでした。タイムラインは文字と画像が中心で、公開対象は「友だち」でした。これがVOOMになったとき、公開対象は「フォロワー」に変わり、内容もショート動画が中心になりました。つまりLINE VOOMは、もともと5年ほど前に一度大きく作り変えられた機能であり、今回はその機能そのものが役目を終えた、という経緯になります。

なぜ、無料の露出チャネルは急になくなるのか

「無料で使えていた機能が、ある日突然なくなる」というのは、LINE VOOMに限った話ではありません。SNSやポータルサイトを運営する企業は、利用者の反応が薄い機能や、収益に結びつきにくい機能を定期的に整理します。LINEヤフー社が今回の理由として挙げた「サービス提供体制の見直し」も、こうした整理の一環と考えられます。

企業側から見ると、無料の露出機能は「使えている間はお得だが、いつ終わるか分からない」という性質を持っています。運営会社にとって収益化しづらい機能は優先度が下がりやすく、広告収益に直結する機能やAI関連の投資に予算と開発リソースが振り向けられやすいためです。これは今回のLINE VOOMだけでなく、SNS全般に共通する構造だと理解しておくと、次に似たような終了ニュースが出たときにも慌てずに済みます。

LINE公式アカウントを使う中小企業に、実際何が起きるのか

まず落ち着いて整理したいのは、LINE公式アカウント自体はなくなるわけではないということです。友だちに直接メッセージを届ける「メッセージ配信」、チャットでの個別対応、クーポン配布といった基本機能は、今回の終了と関係なく続きます。日々の問い合わせ対応や予約案内をLINEで行っている店舗・会社にとって、業務が止まるような話ではありません。

影響が出るのは、VOOMを「友だち以外への無料の露出経路」として活用していた企業です。たとえば新商品の紹介動画をVOOMに載せて友だち以外にも見てもらう、といった使い方をしていた場合、その経路が9月30日でなくなります。代わりの「投稿」機能があるとはいえ、ホームタブ表示が保証されない以上、これまでと同じ規模の露出を期待するのは難しいでしょう。分析タブでVOOMの再生数・閲覧数を確認していた企業も、その指標自体が見られなくなります。

私自身、沖縄でビジネスマッチングサイトの集客支援に携わっていたころ、無料のFacebook告知だけでセミナーに100名を超える集客ができた経験があります。無料のSNS露出は、うまく使えば費用をかけずに大きな効果を生みます。ただ同時に、Facebook・Instagram広告の運用代行でも実感してきたことですが、プラットフォームの仕様は事業者側の都合で急に変わります。無料の露出経路に依存しすぎると、今回のように土台ごと崩れるリスクを常に抱えることになります。

「投稿」機能への切り替えで、今週中に確認しておきたいこと

9月30日まで残りわずかです。今週中に確認しておきたいことを整理します。

  • 過去の投稿を残したいか判断する。 バックアップ申請の受付は9月30日までです。過去にVOOMへ載せた動画や写真を後から見返したい、他の用途に使い回したい場合は、早めにバックアップを申請してください。申請してからダウンロードできるようになるまで、多少の時間がかかる点も見込んでおく必要があります。
  • メッセージ配信自体は変わらないことを社内で共有する。 「LINEが使えなくなる」という誤解が広がると、現場が無駄に混乱します。取引先や社内から問い合わせが来た場合に備えて、止まるのはVOOMだけであり、友だちへの配信や予約対応は今までどおりだと、担当者が即答できるようにしておきましょう。
  • 新しい「投稿」機能の設定を一度確認する。 ホームタブへの表示は保証されないとはいえ、機能自体はメッセージ作成画面から引き続き使えます。ホームタブに表示されなくても、投稿自体は友だちのタイムライン的な画面に残る可能性があるため、まずは触ってみて挙動を確認しておくと、後から慌てずに済みます。今後も投稿を続けるかどうか、担当者を決めて運用方針を決めておくと安心です。
  • VOOM経由の露出に頼っていた場合は、代替の発信先を検討する。 短尺動画であればInstagramのリールなど、他のSNSでの発信に振り分ける、あるいは自社ブログやメルマガでの発信を強化するといった選択肢があります。ひとつのプラットフォームの一機能だけに集客を依存させず、複数の発信先に分散させておくことが、今回のような終了の影響を小さくする一番の備えになります。

よくある誤解「LINE公式アカウントごと終わる」ではない

今回の件で最も多い誤解は、「LINE公式アカウント自体が終了する」という受け止め方です。正しくは、LINE公式アカウントに組み込まれていた一機能であるVOOMだけが終了するのであって、友だちへのメッセージ配信・チャット対応・クーポン機能などの本体は今後も使えます。SNSのニュースは見出しだけが独り歩きしやすいものです。取引先や社内で話題になった際は、「終わるのはVOOMという投稿・動画の露出機能だけ」と正確に伝えることで、無駄な問い合わせや混乱を防げます。

まとめ

LINE VOOMの終了は、中小企業のLINE運用にとって「露出経路がひとつ減る」という限定的な変化です。過度に心配する必要はありませんが、放置してよい話でもありません。今週中に次の点を確認しておくと安心です。

確認すること 期限・ポイント
過去投稿のバックアップ要否 受付は9月30日まで
メッセージ配信など基本機能への影響 影響なし。継続して利用可能
新しい「投稿」機能への移行判断 ホームタブ表示は保証されない前提で運用方針を決める
VOOM経由の露出に代わる発信先 他SNSや自社ブログ・メルマガへの振り分けを検討

この記事に出てきた専門用語は、下の表にまとめました。

専門用語 かんたんな意味
LINE公式アカウント 会社やお店が運営できる、LINEの法人向けアカウント
LINE VOOM LINE公式アカウントに組み込まれていた、動画・投稿の共有機能(2026年9月30日終了)
ホームタブ LINEアプリを開いたときに表示される、友だち以外の投稿も流れる画面