「SNSはSNS、ホームページはホームページ。別々に運用するもの」。そう考えている経営者・担当者は多いのではないでしょうか。ところがGoogleは2026年7月、Instagram・TikTok・X・YouTubeへの投稿が、Google検索からどれだけ見られているかを確認できる新機能「プラットフォームプロパティ」をSearch Console(サーチコンソール。Googleが無料で提供する、検索順位や流入経路を確認できる公式ツールです)に追加しました。この記事では、何が新しくわかるようになったのか、中小企業のSNS運用にとって何を意味するのかを整理します。

「プラットフォームプロパティ」で何が新しくわかるようになったのか

Googleは公式ブログ「Search Central Blog」で2026年7月7日、この新機能を発表しました。段階的な展開を経て、7月29日には世界中のアカウントで使えるようになったと案内されています。対応する海外メディアの報道でも、同時期に同様の内容が伝えられています。

これまでのSearch Consoleは、自社のホームページ(ドメイン)を登録して、そのサイトがGoogle検索でどう表示されているかを確認する仕組みでした。プラットフォームプロパティは、この対象をホームページの外に広げるものです。InstagramやX、TikTok、YouTubeのアカウントを登録すると、そのアカウントに投稿したコンテンツが、Google検索や「Discover」(ディスカバー。スマートフォンのGoogleアプリなどで、ユーザーの興味に合わせて記事や投稿を自動で表示する機能です)、Googleニュースにどれだけ表示され、何回クリックされたかを確認できます。

これまでSNSの効果測定といえば、そのSNS自体が提供するインサイト機能(投稿ごとの閲覧数や反応数を確認できる機能です)を見るのが一般的でした。プラットフォームプロパティは、それとは別の切り口です。「SNS上でどれだけ見られたか」ではなく「Google検索を通じてどれだけ見られたか」を教えてくれます。自社のホームページとSNSアカウントを、同じSearch Consoleの画面の中で、並べて確認できるようになった点が変化です。

なぜ今、SNSの検索流入が見えるようになったのか

背景には、SNSの投稿がGoogle検索の結果に表示される場面が増えている、という事情があります。以前は「検索といえばホームページが出てくるもの」という感覚が一般的でした。しかし近年は、InstagramやXの投稿、YouTube動画が、通常の検索結果やDiscoverに直接表示されるケースが目立つようになっています。

Googleの担当者は、2025年12月に試験的に始めていた「ソーシャルチャンネル」機能の後継として、今回の機能を位置づけていると説明しています。試験段階から半年ほどで正式な世界展開に至ったスピード感からも、Google側がこの領域を重視していることがうかがえます。

もう一つの背景として、検索結果そのものの姿が変わり続けていることが挙げられます。以前の検索結果は、ホームページへのリンクが並ぶだけの、比較的単純な作りでした。今は、AIによる要約表示や、動画、SNS投稿などが同じ画面に混ざって表示される場面が増えています。ホームページを持っていない個人事業主や、SNSを主戦場にしている事業者にとっても、Google検索からの流入を測る手段が必要になってきた、という事情です。プラットフォームプロパティは、ホームページを所有していなくても、SNSアカウントの確認だけで登録できる設計になっています。これは、SNS中心に情報発信している小規模事業者にも間口を広げる狙いがあると考えられます。

中小企業の現場に置き換えると、この流れには実務上の意味があります。多くの中小企業は、ホームページのSEO対策と、SNSの投稿運用を、別々の担当者・別々の指標で管理しています。私自身、以前ホームページ制作やブログを使った集客の仕事をしていたときも、ブログのアクセス解析と、SNSの反応数はまったく別のものとして見ていました。両者が「Google検索」という同じ入り口でつながっているという発想は、当時はあまり一般的ではありませんでした。プラットフォームプロパティは、この2つの活動が実は同じ土俵で評価されていることを、数字で示してくれる機能だと言えます。

中小企業にとって具体的に何が変わるのか

自社にとっての意味を、3つに整理します。

1. SNS運用の「隠れた成果」が見える

Instagramで丁寧に投稿を作っていても、フォロワー以外の目に触れる機会は限られます。しかしGoogle検索経由での表示・クリックがあるとすれば、それはフォロワー外の潜在顧客に届いている証拠です。これまで見えなかった経路の成果が、数字として確認できるようになります。

2. どの投稿が「検索に強いか」がわかる

複数の投稿のうち、どれがGoogle検索からのクリックを多く集めているかを比較できます。たとえば「引っ越し業者を選ぶとき、複数社の見積もりを比較して初めて相場観がつかめる」のと同じで、投稿ごとの数字を並べて比べて初めて、何が読者の検索意図に応えられているかが見えてきます。勘や感覚ではなく、数字に基づいて次の投稿内容を決めやすくなります。

3. ホームページとSNS、両方の検索露出を一元管理できる

追加コストなしで、既存のSearch Consoleの画面内で完結します。新しいツールを契約する必要はなく、既にSearch Consoleを使っている事業者であれば、アカウントを追加登録するだけで始められます。

4. 複数の担当者・複数のSNSを掛け持ちしていても、確認の手間が増えにくい

InstagramとX、YouTubeを別々の担当者が運用している会社も少なくありません。それぞれのSNSにログインして数字を確認する手間は、担当者が増えるほど積み重なります。プラットフォームプロパティであれば、権限を持つ人がSearch Consoleの1つの画面から、複数アカウントの数字をまとめて確認できます。月に一度、経営者が全体をざっと見る、といった運用にも向いています。

設定・活用にあたっての注意点

期待が先行しがちな機能ですが、誤解しておきたくない点もいくつかあります。

まず、プラットフォームプロパティを登録したからといって、投稿の検索表示回数が自動的に増えるわけではありません。あくまで「今どれだけ見られているか」を確認するための機能であり、順位を上げる機能そのものではないという点です。

次に、登録には各SNSアカウントの所有権確認という手続きが必要です。ホームページのSearch Console登録と同じく、自分のアカウントであることをGoogleに証明する作業が発生します。担当者が変わった際に引き継ぎが漏れやすい部分でもあるため、設定した人・手順は社内で記録しておくことをおすすめします。

最後に、表示されるデータは「Google検索経由」に限られます。SNS内の検索やおすすめ表示からの流入は含まれません。SNSアプリ自体のインサイト機能と、プラットフォームプロパティは、補い合う関係にあります。どちらか一方だけを見て判断しないことが大切です。

まとめ

項目 内容
何が追加されたか Search Consoleに、SNS・動画投稿のGoogle検索での表示・クリック数を確認できる「プラットフォームプロパティ」機能が追加
対応プラットフォーム Instagram・TikTok・X・YouTube
展開時期 2026年7月7日に発表、同月29日に世界展開完了(Google公式ブログより)
中小企業にとっての意味 ホームページとSNS、両方の検索経由の露出を同じ画面で確認できるようになった
注意点 順位を上げる機能ではない。アカウントの所有権確認が必要。SNS内の反応はカバーしない
記事内の専門用語 意味
Search Console(サーチコンソール) Googleが無料で提供する、検索順位や流入経路を確認できる公式ツール
プラットフォームプロパティ Search Consoleの新機能。SNS・動画アカウントを登録し、Google検索経由の表示・クリック数を確認できる
Discover(ディスカバー) スマートフォンのGoogleアプリなどで、ユーザーの興味に合わせて記事や投稿を自動表示する機能
インサイト機能 SNS自体が提供する、投稿ごとの閲覧数や反応数を確認できる機能

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