Googleが2026年10月15日、公式ブログで新機能「Universal Cart(ユニバーサル・カート)」を発表しました。検索結果やAIアシスタント「Gemini」とのやり取りの中で、複数の店の商品を1つのカートにまとめ、AIが購入手続きの一部を代わりに進める仕組みです。今のところ米国限定の発表で、ネット通販を扱わない会社には直接関係しないように見えます。しかし、この発表が示す「AIが代わりに行動する」検索の流れは、業種を問わず関係してきます。この記事では、何が発表されたのかと、ECサイトを持たない会社が今から備えられることを整理します。

Googleが発表した「Universal Cart」とは何か

Universal Cartは、Googleの検索結果やGeminiアプリ、YouTube、Gmailといった複数のサービスをまたいで、買い物のカートを1つにまとめられる機能です。海外メディアのGigazineや、国内のEC専門メディア「ネットショップ担当者フォーラム」などが報じています。これまでは、A店の商品とB店の商品を同時に買いたい場合、それぞれのサイトで別々に手続きが必要でした。Universal Cartでは、異なる店の商品を1つのカートにまとめ、まとめて決済できるようになるとされています。

機能の中心は、AIによる自動化です。価格が下がったことをAIが検知して知らせたり、売り切れだった商品の再入荷を知らせたりする仕組みが含まれると報じられています。さらに進んだ段階では、AIエージェント(人に代わって、調べ物や手続きを自動で進めるAIのことです)が、購入手続きそのものを代行する構想も示されています。

この発表は唐突なものではありません。Googleは2026年春の時点で、複数の店舗やサービスを横断して使える「エージェントコマース(AIエージェントが買い物を手伝う仕組み)」の構想を明らかにしていました。今回の発表は、その構想が実際の機能として動き出したという位置づけです。提供は米国の検索画面から先行して始まり、日本での提供時期は、今回調べた範囲では確認できませんでした。

Googleがここまで力を入れる背景には、競争意識があると考えられます。生成AIを使った対話サービスの側でも、会話の中で商品を探して購入できる機能の開発が進んでいると報じられています。検索の入口としての地位を長年守ってきたGoogleにとって、「調べる」だけでなく「買う」までを自社のサービス内で完結させることは、ユーザーを他のサービスに奪われないための防衛策でもあります。この競争構図そのものが、検索というものの役割を変えていく力になっています。

ECサイトを持たない会社にも関係がある理由

ここまでの内容を読んで、「うちはネット通販をしていないから関係ない」と感じた経営者や担当者は多いはずです。実際、Universal Cartという機能そのものを、コーポレートサイトや採用サイト、サービス紹介のLP(ランディングページ。広告や検索から来た人が最初に見る1枚のページのことです)を持つ会社が直接使う場面はありません。GoalSeekがお手伝いしている会社の多くも、ECサイトではなく、問い合わせや資料請求を目的にしたサイトです。

ただし、今回の発表には、ECかどうかに関係なく押さえておきたい意味があります。それは、Googleが検索の体験を「人が自分で調べて選ぶ」ものから、「AIが代わりに調べて、場合によっては行動まで完了させる」ものへ、本格的に動かし始めているという点です。買い物のカートという、分かりやすい入口で始まっただけであり、同じ発想は検索全体に広がっていくと考えられます。

実際、Googleの検索に「AIモード」という、質問に対してAIがまとめて答える機能が日本語でも使えるようになっていますし、海外ではレストランの予約を検索の中でAIが代行する機能も試験的に始まっています。これらはUniversal Cartとは別の機能ですが、方向性は同じです。AIが、ユーザーの代わりに「調べる」だけでなく「決める」「動く」領域まで担おうとしています。

つまり、将来的には、自社のサービス内容や料金、問い合わせ方法を調べるときにも、人が自社のホームページを直接訪れるのではなく、AIがいくつかの会社の情報をまとめて比較し、代わりに問い合わせを進める、という場面が増えていく可能性があります。自分の会社のホームページが、AIにとって「正確に読み取れる情報源」になっているかどうかが、今まで以上に重要になります。

今から備えられることは何か

Universal Cartのようなカート機能自体を導入する必要はありません。ECサイトを持たない会社がやるべきことはむしろシンプルで、AIが自社の情報を正しく読み取れる状態を整えることです。具体的には、次の3点が挙げられます。

  • 構造化データ(スキーマ)を整える:構造化データとは、会社名・営業時間・料金・サービス内容などの情報に、検索エンジンが理解しやすい形の目印をつけておく仕組みです。人が読むための文章とは別に、AIが機械的に読み取るための情報を用意しておくイメージです。
  • FAQページの内容を充実させる:よくある質問への回答をまとめたFAQページは、AIが会社の情報を要約する際の重要な材料になります。曖昧な表現を避け、具体的な質問と答えのセットにしておくことが有効です。
  • 自社サイトの情報を最新に保つ:料金や対応エリア、営業時間などの情報が古いままだと、AIが誤った情報を参照して案内してしまう可能性があります。こまめな更新が、結果的にAIからの誤案内を防ぐことにつながります。

これらは、AI時代になって急に必要になったものではありません。もともと検索エンジン対策(SEO)の基本として大切にされてきた「情報を正確に、分かりやすく整理する」という考え方そのものです。AIが検索の主役になりつつある今だからこそ、この基本の重要性が増していると言えます。

電話での問い合わせを主な窓口にしている会社であっても、無関係ではありません。AIがまず自社の情報を調べ、候補を絞り込んだうえで、最終的に人が電話をかける、という流れは十分に考えられます。その絞り込みの段階で候補から外れてしまえば、電話そのものが鳴らなくなります。ホームページの情報整備は、電話を含めたすべての問い合わせ窓口の手前にある土台だと考えておくと、備えの優先順位がつけやすくなります。

注意点・よくある誤解

今回の発表について、2つ誤解しやすい点があります。1つは、「Universal Cart=通販サイト向けのカート機能を自社でも導入すべき」という誤解です。これはGoogleの検索やGeminiの中で動く機能であり、自社サイトに何かを実装する話ではありません。もう1つは、「米国で発表されたから、すぐに日本の検索結果も同じように変わる」という誤解です。提供は米国から先行しており、日本での提供時期や、どこまでの機能が日本語で使えるようになるかは、今回調べた範囲ではまだ明らかになっていません。断定はできないため、今後の報道を確認しながら、慌てずに基本的な備えを進めることが現実的です。

まとめ

Googleが発表したUniversal Cartは、複数の店の商品を1つのカートにまとめ、AIが購入手続きを支援する機能です。ECサイトを持たない会社に直接関係する機能ではありませんが、「AIが代わりに調べて、行動まで担う」検索の流れを示す出来事として注目に値します。構造化データやFAQページの整備といった基本的な対策が、この流れへの備えになります。こうした自社サイトの土台づくりは、無料相談でもよくご相談いただくテーマです。

記事内の専門用語 意味
Universal Cart Googleの検索やGeminiなどをまたいで、複数の店の商品を1つのカートにまとめられる新機能
AIエージェント 人に代わって、調べ物や手続きを自動で進めるAIのこと
エージェントコマース AIエージェントが買い物の手伝いを担う仕組みの総称
構造化データ(スキーマ) 会社名・営業時間・料金などの情報に、検索エンジンが理解しやすい目印をつける仕組み
LP(ランディングページ) 広告や検索から来た人が最初に見る1枚のページ