「GA4(ジーエーフォー。Googleが無料で提供しているアクセス解析ツールのことです)を入れたはいいものの、どこを見ればいいか分からない」。ホームページ制作の際にとりあえず設置したものの、その後ログインした記憶がない。そんな声を、中小企業の経営者や担当者からよく聞きます。GA4は、正しく見る指標を絞れば、問い合わせ改善のヒントを教えてくれる道具です。この記事では、最初に押さえるべき指標3つと、日々の改善につなげる使い方を整理します。
GA4が「分かりにくい」と言われる背景
GA4は、以前使われていた「ユニバーサルアナリティクス(UA。GA4の前身にあたる、旧バージョンのアクセス解析ツールのことです)」に代わって、Googleが2023年に標準に切り替えたツールです。UAは、ページの閲覧回数を中心に集計する仕組みでした。一方GA4は、訪問者一人ひとりの行動(ページを見た、ボタンを押した、フォームを送った、など)を「イベント」という単位で記録する仕組みに変わりました。
この変更により、以前より詳しい行動データが取れるようになりました。しかし、その分、画面の構成や用語も大きく変わりました。UAを使い慣れていた担当者ほど、「前と同じ場所に、同じ数字が見当たらない」と戸惑いやすいです。
さらに、GA4は初期設定のままだと、自社にとって本当に大事な指標が目立つ場所に表示されないことも多いです。ホームページ制作会社が設置だけして、見方までは説明しないケースも少なくありません。結果として、「入れたけれど使っていない」という状態のまま放置されがちです。
私自身、沖縄県の外郭団体に勤めていた時期、アクセス解析のデータを日々確認しながらサイト改善を進め、あるビジネスマッチングサイトのアクセス数を3倍に伸ばした経験があります。数字を見ずに感覚だけで手を加えていたら、同じ結果にはならなかったはずです。GA4も、正しく見る場所さえ分かれば、同じように改善の道具として使えます。
まず押さえるべき3つの指標
GA4には非常に多くの指標がありますが、中小企業がまず見るべきものは、次の3つに絞って構いません。
1. ユーザー数
ユーザー数とは、一定期間にサイトを訪れた人の数のことです。似た指標に「セッション数(訪問の回数を数えたもので、同じ人が1日に2回訪れると2セッションとカウントされます)」がありますが、まずは「何人に見てもらえたか」を表すユーザー数を基準にするとシンプルです。
広告やSEO(検索エンジン最適化。Googleなどの検索結果で自社のサイトを上位に表示させるための取り組みのことです)に力を入れた月は、ユーザー数の変化を見れば、その取り組みが実際に人を呼び込めているかどうかが分かります。
2. エンゲージメント率
エンゲージメント率とは、サイトを訪れた人のうち、10秒以上滞在したり、2ページ以上見たりするなど、「なんらかの反応をした」人の割合のことです。UA時代の「直帰率(ちょくきりつ。1ページだけ見てすぐ離れた人の割合です)」の逆にあたる考え方だと捉えると分かりやすいです。
この数字が低い場合、訪問者が「自分に関係あるサイトではない」と感じて、すぐに離れている可能性があります。広告やSEOで人を集められていても、この数字が低いままでは、問い合わせにはつながりにくいです。
3. コンバージョン(目標達成数)
コンバージョンとは、サイト側があらかじめ決めた「達成してほしい行動」のことです。問い合わせフォームの送信や、電話番号のタップなどが、一般的なコンバージョンにあたります。
GA4では、このコンバージョンを自分で設定する必要があります。設定していないと、いくらユーザー数やエンゲージメント率を見ても、「結局、問い合わせにつながっているのか」が分かりません。GA4を導入したら、まずこのコンバージョン設定ができているかを確認することをおすすめします。
「見て終わり」にしないための使い方
3つの指標を眺めるだけでは、改善にはつながりません。大事なのは、数字同士を比べることです。
たとえば、リフォーム会社を選ぶとき、1社だけの見積もりでは高いか安いか判断できません。複数社を比べて、初めて相場が見えてきます。GA4の数字も同じです。単月の数字を見るだけでなく、前の月や、施策を打つ前の期間と比べることで、変化の意味が見えてきます。
比較するときは、次のような切り口が実務的です。
- 流入経路(りゅうにゅうけいろ。訪問者がどこ経由でサイトに来たかのことです)別に、広告・SEO・SNS・直接訪問のユーザー数とコンバージョンを比べる
- ページ別に、どのページのエンゲージメント率が低いかを比べる
- 施策を打った月と、打っていない月のコンバージョン数を比べる
特にページ別の比較は効果的です。エンゲージメント率が極端に低いページがあれば、そのページの内容や導線(どうせん。訪問者がサイトの中をどんな順番で見て、最後に問い合わせにたどり着くかという道筋のことです)に問題がある可能性が高いです。
GA4をサイト改善・広告運用の判断材料にする
GA4を見る本当の目的は、数字を眺めることではありません。次に何を直すかを判断するための材料にすることです。
たとえば、ユーザー数は増えているのにコンバージョンが増えていない場合、集客はできているが、サイト側の説明や導線に問題がある可能性が高いです。この場合は、広告費を増やすより先に、サイトの内容を見直したほうが効果的です。
反対に、エンゲージメント率もコンバージョンも悪くないのにユーザー数自体が少ない場合は、サイトの中身より先に、集客量そのものを増やす工夫が必要だと判断できます。
このように、3つの指標を組み合わせて見ることで、「広告を増やすべきか」「サイトを直すべきか」という優先順位が見えてきます。感覚だけで「なんとなくサイトを直そう」と判断するより、無駄が少なくなります。
実践時の注意点・よくある失敗
GA4を使い始める際は、次の点に注意が必要です。
- 数字だけを見て一喜一憂しない:1日単位の細かい増減には、天候や曜日など、施策と関係のない要因も影響します。週単位・月単位のまとまった期間で見る習慣をつけたほうが、正しい判断につながります。
- コンバージョンの設定を忘れない:前述のとおり、設定していないと、そもそも「問い合わせにつながったか」が分かりません。導入直後に必ず確認しておく項目です。
- Cookie(クッキー。訪問者のブラウザに保存される、閲覧情報を記録する仕組みのことです)の同意取得が漏れていないか確認する:同意を得られていない訪問者のデータは正しく記録されないことがあります。プライバシーポリシーやCookie同意バナーの設置状況もあわせて見直しておくと安心です。
まとめ
GA4は、見る指標を絞れば、難しいツールではありません。この記事で紹介したポイントを整理します。
| 押さえておきたい点 | 内容 |
|---|---|
| 分かりにくいと言われる背景 | UAからGA4への仕組み変更、初期設定のままでは大事な指標が見えにくいこと |
| まず見る3指標 | ユーザー数・エンゲージメント率・コンバージョン |
| 使い方の基本 | 単月の数字ではなく、流入経路別・ページ別・期間別に比較する |
| 判断への活かし方 | 集客とサイト、どちらを優先して直すべきかの手がかりにする |
| 注意点 | 日次の増減に一喜一憂しない、コンバージョン設定漏れ、Cookie同意の漏れに注意する |
GA4は、導入して終わりではなく、月に一度でも数字を見る習慣をつけることで初めて意味を持ちます。自社のサイトでどこを見ればよいか分からない場合は、無料相談で一緒に確認することもできます。
最後に、この記事に出てきた専門用語を表にまとめます。
| 専門用語 | かんたんな意味 |
|---|---|
| GA4 | Googleが無料で提供しているアクセス解析ツール |
| UA(ユニバーサルアナリティクス) | GA4の前身にあたる、旧バージョンのアクセス解析ツール |
| セッション数 | サイトへの訪問回数(同じ人が複数回訪れると複数カウントされる) |
| エンゲージメント率 | 一定時間滞在するなど、なんらかの反応をした訪問者の割合 |
| 直帰率 | 1ページだけ見てすぐ離れた訪問者の割合(UAで使われていた指標) |
| コンバージョン | サイト側があらかじめ決めた、達成してほしい行動(問い合わせなど) |
| 流入経路 | 訪問者がどこ経由でサイトに来たか(広告・SEO・SNSなど) |
| 導線 | 訪問者がサイトの中を見て、問い合わせにたどり着くまでの道筋 |
| SEO | 検索エンジン最適化。検索結果で自社サイトを上位に表示させる取り組み |
| Cookie | 訪問者のブラウザに保存される、閲覧情報を記録する仕組み |