「Googleビジネスプロフィールはしっかり整えたのに、地図検索の順位が思うように上がらない」。ローカルSEO(MEO。地図検索・Googleマップでの表示順位を上げる対策のことです)に取り組む経営者・担当者から、こうした相談を受けることがあります。話を聞いていくと、原因は自社のホームページやプロフィールの中ではなく、外部のポータルサイトや口コミサイトに書かれた会社情報の表記のバラつきにあるケースが少なくありません。この記事では、NAP情報という考え方と、その統一の進め方を整理します。

NAP情報とは何か、なぜ表記がバラバラになるのか

NAP情報とは、会社名(Name)・住所(Address)・電話番号(Phone)という、事業者を特定する3つの基本情報の頭文字を取った呼び方です。Googleビジネスプロフィールだけでなく、自社のホームページ、求人サイト、業界団体の名簿、比較サイトやポータルサイトなど、会社情報はインターネット上の様々な場所に掲載されています。

問題は、これらの表記が掲載場所ごとに少しずつ違ってしまうことです。たとえば次のようなズレは、よく見かけます。

  • 移転前の旧住所が、古いポータルサイトにそのまま残っている
  • 電話番号の表記が「03-1234-5678」と「0312345678」で統一されていない
  • 「株式会社」を前に書くか後に書くか、ビルの部屋番号を省略するかどうかが場所によって違う
  • 代表者が交代した際、名刺作成会社に登録した情報だけ更新されず残っている

こうしたズレの多くは、悪意があって起きるわけではありません。移転やリニューアルのたびに、自社のホームページとGoogleビジネスプロフィールは更新しても、何年も前に登録した比較サイトや業界ディレクトリまでは手が回らない、というのが実際の事情です。私は沖縄を拠点に地域密着型の中小企業を支援する機会が多くありますが、移転から数年経った後も、古いポータルサイトに前の住所がそのまま残っている例を何度も見てきました。経営者自身がその掲載の存在を忘れてしまっていることも珍しくありません。

表記のばらつきがMEOに与える影響

引っ越し業者を見積もり比較するとき、同じ会社のはずなのに、サイトごとに電話番号や住所の表記が違っていたら、少し不安になるのではないでしょうか。Googleの検索アルゴリズムも、似たような見方をしていると考えられています。

Googleは、ある事業者が本当に実在し、信頼できる存在かどうかを判断する材料として、インターネット上の複数の場所に書かれている情報の一致度を参考にしているとされています。この「外部サイトに掲載された会社情報」のことを、SEOの分野では引用(シテーション)と呼びます。NAP情報が多くの場所で一致していればいるほど、Googleにとってその事業者の実在性・信頼性を確認しやすくなるという考え方です。

ビジネスプロフィールの評価基準そのものが厳しくなっていると報告されている背景にも、この信頼性の確認という視点があります。プロフィールの完成度だけでなく、外部での情報の一致度まで含めて見られるようになってきていると捉えておくと、対策の優先順位が見えやすくなります。

表記のズレが引き起こすもう一つの問題が、プロフィールの重複です。同じ店舗・会社について、住所表記の違いなどが原因で、Googleビジネスプロフィールが意図せず2つ以上作られてしまうことがあります。この場合、口コミやアクセスの評価が2つのプロフィールに分散してしまい、本来1つに集まるはずだった評価が弱まってしまいます。

自社のNAP情報を洗い出す具体的な手順

対策の第一歩は、現状の洗い出しです。自社の会社名・旧社名・電話番号で検索エンジンを検索し、どこに自社の情報が掲載されているかを一通り確認します。検索結果の2〜3ページ目まで見ることで、古い掲載も見つけやすくなります。

洗い出した掲載先は、表計算ソフトなどに一覧でまとめておくと管理しやすくなります。最低限、次の項目を記録しておきましょう。

記録する項目 確認すること
掲載サイト名・URL どのサイトに掲載されているか
表記されている会社名・住所・電話番号 現在の正式な情報と一致しているか
修正可否 自社で編集できるか、運営会社への依頼が必要か
対応状況 修正済みか、未対応か

表記統一のルールを「正」として決めておく

洗い出しと並行して、自社として「どの表記を正式なものとするか」を1つに決めておきます。株式会社の位置、ビルの部屋番号の書き方、電話番号のハイフンの有無など、細部まで統一しておくことがポイントです。この「正」の表記を決めておけば、新しく掲載を依頼するときにも、毎回同じ文字列をコピーして使うだけで済みます。

外部サイトでの修正・統一の進め方

洗い出しが終わったら、優先度の高い掲載先から順に修正していきます。自社で編集できる管理画面がある掲載先は、すぐに直せます。一方、比較サイトやポータルサイトの多くは、掲載企業が直接編集できず、運営会社への問い合わせが必要です。問い合わせフォームやメールで、正しい情報と変更依頼の旨を伝えましょう。

Googleビジネスプロフィールが重複して作られてしまっている場合は、単純な情報修正では解決しません。Googleの管理画面上で、重複しているプロフィールの「統合」または「削除」を申請する手続きが必要になります。この作業は手間がかかりますが、口コミや評価が1つのプロフィールに集約されるメリットは大きいため、見つけた場合は早めに対応したいところです。

自社のホームページ側でも、できる対策があります。構造化データ(検索エンジンに向けて、ページの内容を決まった形式で伝える仕組みです)のLocalBusinessという種類を使うと、会社名・住所・電話番号をページの中にあらためて明記できます。さらにsameAsという項目に、Googleビジネスプロフィールや公式SNSのURLを並べて書いておくと、「これらはすべて同じ事業者の情報である」という結びつきをGoogleに伝えやすくなります。

実践時の注意点とよくある失敗

よくある失敗が、自社のホームページとGoogleビジネスプロフィールだけを直して満足してしまうことです。外部のポータルサイトや名簿サイトまで手を伸ばさないと、Googleから見た一致度は上がりません。洗い出しの一覧表を作る工程を省略しないことが、結局は一番の近道になります。

もう一つの注意点は、移転・改装・代表者交代などのタイミングです。こうした変更が発生したときは、自社サイトとGoogleビジネスプロフィールの更新だけで終わらせず、NAP情報の洗い出し一覧を見ながら、外部掲載先も合わせて更新する作業をセットで行う習慣をつけておくと、ズレが積み重なるのを防げます。

NAP情報の統一は、一度終わらせれば完了する作業ではありません。半年に一度程度、自社名での検索を行い、新しいズレが生まれていないかを確認する運用をおすすめします。

まとめ

整えるポイント 確認すること
NAP情報の洗い出し 会社名・旧社名・電話番号で検索し、掲載先を一覧化する
表記の統一 株式会社の位置・部屋番号・ハイフンの有無まで「正」の表記を決める
外部サイトの修正 自社編集可否を確認し、運営会社への依頼も含めて対応する
重複プロフィール 見つけたら統合・削除を申請し、評価の分散を防ぐ
定期的な見直し 移転・改装・代表者交代のたびに、半年に一度は再確認する

最後に、この記事で使った専門用語を整理しておきます。

記事内の専門用語 意味
NAP情報 会社名(Name)・住所(Address)・電話番号(Phone)という事業者の基本情報
ローカルSEO(MEO) 地図検索・Googleマップでの表示順位を上げる対策
引用(シテーション) 自社以外の外部サイトに掲載されている会社情報のこと
構造化データ 検索エンジンに向けて、ページの内容を決まった形式で伝える仕組み

NAP情報の統一は、地味で手間がかかる作業ですが、Googleビジネスプロフィールの整備と並んで、地図検索での信頼性を支える土台になります。自社の掲載状況を一度確認したい方は、無料相談でチェックすることもできます。