「リニューアルしたら、なぜか検索の順位が下がった」。サイト刷新の相談を受けていると、この声をよく聞きます。デザインは良くなったのに、問い合わせは減ってしまう。実はこれは珍しい失敗ではありません。この記事では、サイトリニューアルで検索順位や問い合わせが下がってしまう典型的な原因と、公開前に決めておくべきポイントを整理します。

なぜリニューアルで順位が下がるのか

サイトリニューアルは、デザイン会社や制作会社に「見た目を新しくしてほしい」と依頼するところから始まることが多いです。担当者もデザインの打ち合わせには時間をかけます。しかし、検索エンジンからの評価をどう引き継ぐかという話し合いは、後回しにされがちです。

検索エンジンは、それぞれのページを「URL」(URL:ページごとに割り振られた住所のようなものです)という単位で評価しています。何年もかけて積み上げてきたページの評価は、このURLに紐づいています。リニューアルでURLの作りを変えてしまうと、積み上げてきた評価がリセットされる可能性があります。

私自身、個人事業主としてホームページ制作の仕事をしていた時期に、この相談を何度も受けました。デザインを一新したいという要望の裏側に、URLの構成まで変える計画が隠れていることは少なくありません。そのため、まず「見た目を変えること」と「URLの構成を変えること」は別の話だと切り分けて考える必要があります。

前職の沖縄ITイノベーション戦略センターでは、サイト改善によって沖縄県のビジネスマッチングサイトのアクセス数を3倍にした経験があります。このときは、既存ページのURLをむやみに変えず、情報の見せ方を整理する方針をとりました。もしURLを大きく作り直し、後述する引き継ぎ作業を怠っていたら、同じ成果は出せなかったはずです。

原因1:URLの変更とリダイレクト設定の漏れ

最も多い失敗は、URLを変えたのに、古いURLから新しいURLへの案内を設定し忘れることです。この案内のことを「301リダイレクト」(301リダイレクト:古いURLにアクセスした人を、自動的に新しいURLへ転送する設定のことです)と呼びます。

301リダイレクトを設定しないと、何が起きるでしょうか。訪問者は古いURLにアクセスした瞬間、「ページが見つかりません」というエラー画面にたどり着きます。検索エンジンも同じで、これまで評価してきたページが消えたと判断し、評価を引き継げなくなります。

引っ越しをイメージすると分かりやすいです。引っ越し業者に依頼するとき、旧居あてに届いた郵便物を新居に転送してもらう手続きをします。この手続きをしなければ、大切な書類や請求書が旧居に届いたまま、誰の手にも渡りません。301リダイレクトは、この郵便物の転送手続きと同じ役割を果たします。

対応としては、リニューアル前に、現在のサイトの全ページのURL一覧を作成しておくことが欠かせません。そのうえで、新しいURLとの対応表を作り、1対1でリダイレクトを設定します。ページ数が多いサイトほど、この作業を後回しにしがちですが、ここを丁寧に行うかどうかで結果が大きく変わります。

原因2:ページの統廃合で情報と評価が失われる

リニューアルのタイミングで、「情報が古いから」「アクセスが少ないから」という理由で、既存ページをまとめて削除するケースもよく見かけます。ページ数を減らせば管理は楽になります。しかし、そのページが検索エンジンから評価され、実際に問い合わせにつながっていた場合、削除は大きな機会損失になります。

ここで役立つ考え方が、アクセス解析での事前確認です。GA4(Google が提供する無料のアクセス解析ツールです)や、後述するサーチコンソールを使えば、どのページが実際に検索から人を集めているかを事前に把握できます。感覚だけで「使っていなさそうだから消す」と判断すると、思わぬ主力ページを失うことになります。

やむを得ずページを統合する場合は、統合先のページに、元のページの内容をきちんと引き継ぐことが重要です。単に別ページへリダイレクトするだけで、肝心の情報がどこにも載っていなければ、訪問者にとっても検索エンジンにとっても価値が下がります。統合は「消す」ことではなく「まとめて残す」ことだと考えてください。

また、社内資料としては使っているものの、外部からのアクセスがほぼないページも存在します。そうしたページは、削除するかどうかの判断基準を「社内での必要性」と「検索からの集客への影響」の両方から見る必要があります。片方だけで判断すると、どちらかの利害を損ねてしまいます。

原因3:公開前後の確認体制が整っていない

3つ目の原因は、公開前後の確認が不十分なことです。リニューアル作業の終盤は、デザインの最終調整に追われ、検索エンジン向けの設定確認が漏れやすいタイミングです。

特によくあるのが、「noindex」(noindex:このページを検索結果に表示しないでください、と検索エンジンに伝える設定のことです)の消し忘れです。制作中のサイトは、まだ内容を公開したくないため、検索結果に表示されないようnoindexを設定しておくのが一般的です。ところが、本番公開の際にこの設定を外し忘れると、せっかく新しいサイトを公開しても、検索エンジンからは「表示してはいけないページ」のまま扱われ続けます。

もう一つの見落としが、「内部リンク」(内部リンク:同じサイトの中で、あるページから別のページへ張られているリンクのことです)の切れです。ページ構成を変えると、これまで正しくつながっていたリンクの行き先が、存在しないページを指してしまうことがあります。訪問者がリンクをたどった先でエラーに出会うと、そこで離脱してしまいます。

公開後は、「Google Search Console」(Google Search Console:自社サイトが検索結果でどう扱われているかを、Googleが無料で確認させてくれるツールです)を使って、エラーが出ているページや、インデックス(インデックス:検索エンジンがページの内容を記録し、検索結果に表示できる状態にすることです)から外れたページがないかを継続的に確認します。公開して終わりではなく、公開後の数週間こそ、注意して見守るべき期間です。

進め方でよくある失敗

サイトリニューアルの進め方自体にも、陥りやすい失敗がいくつかあります。整理しておきます。

  • デザイン会社にすべて任せきりにする:デザインの専門家が、検索エンジン対策の知見まで持っているとは限りません
  • 公開日をぎりぎりまで決めない:確認作業の時間が確保できず、リダイレクト設定などが間に合わなくなります
  • 旧サイトのデータを保存しないまま作業を進める:既存ページのURL一覧やアクセスデータがないと、引き継ぎの判断ができなくなります
  • 公開後にアクセス解析を見ない:順位や流入が下がっていても、気づくのが遅れてしまいます

なお、GoalSeekでは、コーポレートサイトやLP、採用サイトなどのリニューアルにあたって、こうした検索エンジン対策の引き継ぎも含めて伴走する形で支援しています(ECサイトは対象外です)。興味のある方は、無料相談からお気軽にお問い合わせください。

まとめ

サイトリニューアルで順位や問い合わせを落とさないためには、デザインの検討と並行して、検索エンジンからの評価をどう引き継ぐかを決めておくことが欠かせません。

見直しポイント やること
URLの変更 変更前に全ページのURL一覧を作り、1対1で301リダイレクトを設定する
ページの統廃合 アクセス解析で流入元を確認し、情報は削除せず統合先に引き継ぐ
公開前後の確認 noindexの解除、内部リンクの張り直し、公開後のSearch Console確認を行う

最後に、この記事に出てきた専門用語を整理します。

記事内の専門用語 意味
URL ページごとに割り振られた住所のようなもの
301リダイレクト 古いURLへのアクセスを、自動的に新しいURLへ転送する設定
GA4 Googleが提供する無料のアクセス解析ツール
noindex このページを検索結果に表示しないよう検索エンジンに伝える設定
内部リンク 同じサイトの中で、あるページから別のページへ張られているリンク
Google Search Console 自社サイトが検索結果でどう扱われているかを確認できる、Googleの無料ツール
インデックス 検索エンジンがページの内容を記録し、検索結果に表示できる状態にすること