「本店は担当者がきちんと更新しているのに、支店のGoogleビジネスプロフィールは何年も放置されている」。複数の店舗を展開する会社の経営者から、こうした相談をよく受けます。MEO(メオ。Googleマップや地図検索の結果で自社の店舗を上位に表示させるための対策のことです)は1店舗であれば整えやすいものです。しかし店舗数が増えるほど、管理が店舗ごとにバラバラになり、気づかないうちに弱い店舗ができてしまいます。この記事では、複数店舗のMEOが後回しになる理由と、まとめて管理する体制の整え方を整理します。

背景:店舗が増えるほど、管理の「抜け」が増える

1店舗だけを経営している場合、Googleビジネスプロフィール(Google検索やGoogleマップに表示される、店舗の基本情報を管理する無料の仕組みです)の担当者は自然と決まります。経営者本人か、現場の責任者がオーナーとして管理するケースが多いはずです。

ところが店舗数が2つ、3つと増えていくと、状況が変わります。各店舗の店長やスタッフが個別にアカウントを持ち、思い思いのタイミングで更新する運用になりやすいのです。本社がすべての店舗の管理権限を把握していない、というケースも少なくありません。

この状態で起きやすい問題が、情報の不統一です。ある店舗は営業時間を正しく更新しているのに、別の店舗は3年前の時短営業のままになっている。ある店舗はクチコミに丁寧に返信しているのに、別の店舗はクチコミが何件も未返信で溜まっている。こうした差が、検索結果での見え方の差につながります。

Googleは店舗ごとに個別の情報を評価するため、1つの店舗の不備が他の店舗の評価を直接下げるわけではありません。しかし会社全体としてみれば、「弱い店舗」が放置されたままになり、その店舗だけ集客が伸びないという結果を生みます。経営者が全店舗の状態を定期的に確認しない限り、この差は自然には縮まりません。

管理がバラバラになる3つの原因

複数店舗のMEOが後回しになるのには、共通した原因があります。順番に見ていきます。

原因1:管理権限が整理されていない

店舗ごとにアカウントを分けて運用していると、本社の担当者が変わったときに、過去の管理者しかアクセスできない状態が生まれます。退職した店長のアカウントのままになっている、というケースも実際にあります。

Googleビジネスプロフィールには、オーナー権限・管理者権限といった複数の権限レベルがあります。本社の担当者がオーナー権限を持ち、店舗側には必要な範囲の管理者権限だけを渡す、という整理ができていない会社は意外と多いものです。オーナー確認の手続きが厳格化されている背景もあり、権限の整理を後回しにすると、いざ確認が必要になったときに手続きが滞ります。

原因2:店舗ごとに更新の優先度が違う

本社から見れば全店舗を平等に扱いたいところですが、現場の店長にとっては、Googleビジネスプロフィールの更新は日々の業務の中で優先度が低い作業です。忙しい店舗ほど後回しにされがちです。

さらに、繁忙期の店舗と閑散期の店舗で、更新への熱意に差が出ることもあります。来客が多い店舗の店長は「今さら更新しなくても困っていない」と考えてしまい、逆に来客が少ない店舗ほど更新の重要性に気づいていない、という逆転現象も起こります。

原因3:本社に全店舗を見渡す仕組みがない

最も根本的な原因は、本社側に全店舗の状態を一覧で確認する仕組みがないことです。店舗ごとに個別のアカウントで管理していると、本社の担当者が1店舗ずつログインして確認するしかありません。店舗数が10を超えると、この作業自体が大きな負担になります。

結果として、問題が起きた店舗(クチコミへの悪意ある投稿、誤った営業時間の表示など)に気づくのが遅れ、対応が後手に回ります。

まとめて管理する体制の作り方

ここからは、複数店舗のMEOを一元管理するための具体的な手順を整理します。

ステップ1:ビジネス グループで権限を一本化する

Googleビジネスプロフィールには、複数店舗をまとめて管理できる「ビジネス グループ」という仕組みがあります。本社の担当者がこのグループに全店舗を登録すれば、1つのログインから全店舗の情報を確認・編集できます。

店舗側に個別アカウントが残っている場合は、権限を本社主導で整理し直すことから始めます。退職者のアカウントや使われていないアカウントは、早めに削除しておくことが望ましいです。

ステップ2:店舗情報の表記ルールを統一する

店舗名・住所・電話番号の表記は、NAP情報(ネイピー。Name・Address・Phoneの略で、店舗名・住所・電話番号の3つを指します)として、全店舗で統一したルールを決めます。「株式会社」を付けるか付けないか、ビル名の表記、電話番号の市外局番の書き方など、細かい部分まで揺れがないようにします。

営業時間についても、自動設定機能のような新しい機能が追加されることがあるため、どの店舗がどの設定を使っているかを本社側で把握しておく必要があります。

ステップ3:クチコミ対応を店舗任せにしない

クチコミへの返信は、店舗の現場感覚が必要な作業でもあります。しかし、低評価のクチコミへの対応や、不適切な投稿への対処は、本社がテンプレートやルールを用意しておくと、店舗ごとの対応品質の差を減らせます。

ステップ4:月次で全店舗の状態をチェックする

ビジネス グループを使えば、全店舗の投稿状況や基本情報の更新状況を一覧で確認できます。月に1回程度、本社の担当者が全店舗を見渡し、更新が止まっている店舗や、クチコミ対応が遅れている店舗を洗い出す運用をおすすめします。

私自身、店舗向けの集客支援を手がけていたときに、複数の加盟店・取引先の状況を定期的に確認する体制を作ったことがあります。仕組みとして定期チェックの時間を確保しておかないと、気づいたときには数カ月分の更新漏れが溜まっている、という事態になりやすいというのが実感です。

実践時の注意点

ビジネス グループでまとめて管理する体制に移行する際、いくつか気をつけたい点があります。

  • 全店舗を一度に移行しない:アカウントの統合作業は、Googleの審査が絡むこともあり、時間がかかる場合があります。まずは数店舗で試してから、残りの店舗に広げていくほうが安全です。
  • 店舗の個性を消さない:本社が一元管理するといっても、各店舗の特色あるクチコミ返信や投稿写真の個性を奪ってしまうと、顧客との距離感が遠く感じられることがあります。ルールは最低限の統一にとどめ、現場の裁量を残す部分も決めておくとよいです。
  • 新規出店時のルールを先に決める:店舗数が増えるタイミングで管理が崩れやすいため、新規出店のたびに「誰がアカウントを作り、誰に権限を渡すか」を決めたフローを用意しておくと、後からの立て直しが不要になります。

まとめ

複数店舗のMEOは、1店舗ずつの対策を積み重ねるだけでは、管理の抜けが生まれやすい領域です。本社が全店舗を見渡せる体制を整えることが、遠回りに見えて最も効率的な進め方になります。

観点 対応のポイント
権限管理 ビジネス グループで本社主導の一本化を進める
表記統一 店舗名・住所・電話番号・営業時間のルールを統一する
クチコミ対応 テンプレートやルールを用意し、店舗任せにしない
定期確認 月次で全店舗の更新状況をまとめて確認する
新規出店時 アカウント作成・権限付与のフローを先に決めておく

半年で問い合わせや売上を2倍にすることを目指す場合、こうした店舗ごとの管理の抜けをなくすことも土台になります。自社だけで整理するのが難しい場合は、無料相談で現状を一緒に確認することも可能です。

記事内の専門用語 意味
MEO Googleマップや地図検索の結果で自社の店舗を上位に表示させるための対策のこと
Googleビジネスプロフィール Google検索やGoogleマップに表示される、店舗の基本情報を管理する無料の仕組み
NAP情報 Name(店舗名)・Address(住所)・Phone(電話番号)の3つの表記を指す略称
ビジネス グループ Googleビジネスプロフィールで複数店舗をまとめて管理できる仕組み