「順位が急に下がった」という相談を受けたとき、原因の多くはアルゴリズム(検索順位を決める計算の仕組み)の見直しです。しかし最近、海外のSEO専門家から別の原因を指摘する声が出ています。Googleが人の目で審査して課す「手動による対策」が増えているという報告です。2026年9月のスパムアップデートが完了した直後というタイミングも重なっており、気になる動きです。この記事では、何が報告されているのかと、中小企業のサイト運営者が今できる確認手順を整理します。

「手動による対策」が増えていると報告されている背景

まず前提を整理します。Googleの検索結果の順位は、通常はアルゴリズムが自動で判定しています。しかしGoogleは、ガイドライン違反が疑われるサイトについては、人の担当者が個別に確認し、ペナルティを課すことがあります。これが「手動による対策(マニュアルアクション)」です。自動のアルゴリズムによる順位変動とは、仕組みがまったく別物です。

2026年10月8日、海外のSEO専門メディア「Search Engine Roundtable」が、この手動による対策が最近増えているのではないかという記事を公開しました。記事の中では、SEOコンサルタントのMarie Haynes氏が、クライアントからの相談件数が増えていると述べています。同じく専門家のDaniel Foley Carter氏も、ここ数ヶ月で手動による対策を目にする機会が増えたと報告しています。

ただし、これはあくまで専門家個人の実感に基づく報告であり、Google自身が件数の増加を公式に認めたわけではありません。そのため記事中でも「件数が本当に増えているかどうかは、データとして確認できていない」と断っている点は押さえておく必要があります。断定はできませんが、無視してよい話でもありません。

タイミングとしては、9月に行われたスパムアップデートが2026年10月8日に完了した直後です。スパムアップデートは、不正な手法で順位を操作しようとするサイトを、アルゴリズムが自動で見分ける更新でした。その展開が終わったタイミングと、手動による対策の報告が増えた時期が重なっていることから、両者に関係があるのではないかと見る専門家もいます。

アルゴリズムの変動と、何が違うのか

コアアップデートやスパムアップデートによる順位の変動は、Googleサーチコンソールの「検索パフォーマンス」の数字が、ある時期を境になだらかに上下するという形で現れます。これに対して、手動による対策は性質が異なります。

手動による対策が課されると、Googleサーチコンソールの「手動による対策」というレポートに、違反の種類と、対象になったページが具体的に表示されます。多くの場合、アルゴリズムの変動よりも急激かつ大幅に、該当ページの表示回数がゼロに近いところまで落ち込みます。表示される違反の種類も具体的なので、原因不明のまま悩む必要がありません。

典型的な違反の例としては、被リンク(ひリンク、他のサイトから自社サイトへのリンクのことです)を不自然に購入・交換していた場合や、内容の薄いページを検索エンジン対策のためだけに量産していた場合などが挙げられます。いずれも、Googleのガイドラインで明確に禁止されている手法です。心当たりがなければ、過度に心配する必要はありません。

外部に依頼していた施策が原因になることもある

注意したいのは、経営者や担当者本人に心当たりがない場合でも、対象になることがある点です。以前に依頼していたSEO業者や、ホームページ制作会社が、発注者に知らせずに不自然な被リンクを購入していた、というケースは珍しくありません。「人に頼んでいた施策だから大丈夫」とは言えないのが実情です。

契約している、または過去に契約していたSEO業者がどのような施策を行っているか、一度確認しておくことをおすすめします。「順位を必ず上げます」「短期間で1位にします」といった言い方をする業者は、こうした不自然な手法に頼っている可能性があります。警戒したほうがよいでしょう。

中小企業が今できる確認方法

まず確認したいのは、Googleサーチコンソールの「セキュリティと手動による対策」という項目です。無料で使える、Google公式のサイト分析ツールです。左側のメニューから開くと、「手動による対策」というレポートがあります。

このレポートに何も表示されていなければ、現時点で対策を受けていないということです。安心して本来の業務に戻って構いません。逆に何らかの違反内容が表示されていれば、対象となったページの一覧と、違反の種類の説明が確認できます。説明文には「詳細」というリンクがあり、具体的にどういう問題なのか、Googleの解説ページに飛べる仕組みになっています。

確認の際に注意したいのは、順位の変動とレポートの表示内容を混同しないことです。手動による対策のレポートに何も出ていないのに順位が下がっている場合は、アルゴリズムの変動が原因である可能性が高いです。そちらはコアアップデートで順位が下がった時の対処を参考にしてください。

私自身、NECに在籍していた頃、プロジェクトの品質管理標準を作り、現場への教育を担当していた経験があります。小さな異変を早い段階で見つける仕組みを作ったところ、実施から1年後には不具合の発生率が下がりました。サイトの順位も、仕組みは違いますが考え方は同じです。普段から数字を定点観測する習慣を持っている事業者ほど、「アルゴリズムの変動なのか、手動による対策なのか」を慌てずに切り分けられます。月に1回でも構いません。サーチコンソールを開く日を決めておくと、いざという時の負担が小さくなります。

対象になっていた場合の対応の進め方

手動による対策を受けていることが分かった場合、慌てて小さな修正を一つだけ行い、すぐに再審査を申請する、という進め方はおすすめできません。Googleの審査担当者は、違反の原因を一通り取り除いたかどうかを見ています。中途半端な対応のまま申請すると、再審査で認められず、時間を余計に使うことになりがちです。

進め方としては、まずレポートに表示された違反の種類を正確に理解します。次に、対象として挙げられたページだけでなく、サイト全体で同じ種類の問題がないかを見直します。不自然な被リンクであれば、購入・交換していたリンクをできる限り削除依頼し、削除できないものはGoogleの「リンク否認ツール」で否認します。内容の薄いページが原因であれば、該当ページを削除するか、内容を大幅に書き直します。

すべての対応が終わったら、レポートの画面から「審査をリクエスト」を選び、何を問題視され、どう対応したかを具体的に説明する文章を添えて申請します。いつ、どのリンクを削除依頼したか、どのページを書き直したかを、日付入りの記録として残しておくと、申請文章を書く際にそのまま使えて役立ちます。Googleからの回答には、数日から数週間かかることが多いとされています。結果が届く前に重ねて申請すると、審査がさらに長引く原因になるため避けてください。

よくある誤解

「手動による対策」という名前から、担当者に直接連絡を取って交渉できるのではないかと考える方がいますが、そうした窓口はありません。審査はすべて、サーチコンソールの画面上での申請とやり取りに限られます。

もう一つの誤解は、順位が下がればすぐに手動による対策を疑ってしまうことです。実際には、順位変動の大半はアルゴリズムの通常の見直しによるものです。手動による対策は、サーチコンソールのレポートに明確に表示されるため、まずそこを確認してから原因を判断する順番を守ることが大切です。自社のサイトがGoogleのガイドラインに沿って運営されているか、日頃から振り返っておくと、こうした場面でも慌てずに済みます。

まとめ

Googleの「手動による対策」が増えているという報告は、海外のSEO専門家の実感に基づくものであり、Google自身が公式に認めた数字ではありません。断定はできませんが、9月のスパムアップデートが完了した直後というタイミングは気に留めておく価値があります。

確認のポイント 内容
何が報告されているか 海外のSEO専門家が、手動による対策の増加を実感として報告(Google公式の発表ではない)
自動の変動との違い アルゴリズムはなだらかな変動、手動による対策はレポートに具体的な違反内容が表示される
確認方法 Googleサーチコンソールの「セキュリティと手動による対策」レポートを開く
対象だった場合 違反箇所をサイト全体で修正したうえで、審査をリクエストする
記事内の専門用語 意味
手動による対策(マニュアルアクション) Googleの担当者が人の目で確認し、ガイドライン違反のサイトに課すペナルティ
アルゴリズム 検索順位を自動で判定する、Googleの計算の仕組み
被リンク 他のサイトから自社サイトへ向けて張られているリンクのこと
リンク否認ツール 不自然な被リンクをGoogleに「評価しないでほしい」と伝えるための公式ツール
審査をリクエスト(再審査リクエスト) 手動による対策の解除を、Googleに申請する手続き

自社のサイトに心当たりがなければ、過度に心配する必要はありません。ただ、こうした報告が出ている時期だからこそ、サーチコンソールを一度開いて確認しておくことをおすすめします。サイトの状況を自分で把握しておくことは、無料相談でご相談いただく際にも、状況を正確にお伝えいただく助けになります。